SS「＃９４ １時間前の「宿福」にて」

あれれ、おかしいな…？
今日はこれを上げるはずじゃなかったのに…！

そんなわけで、タイトル通りのネタバレ文章。短いです。

本編沿いＳＳ…というか、ただ風丸さんの気持ちを妄想しただけなので、
萌えとか燃えとかないかも…。あるのはただ勢いと愛のみ…！

全然円風じゃないかもしれないけど、カテゴリは円風に入れておきます。
気持ち的に！

　＊　＊　＊　＊　＊


　どうする、と問いかけた豪炎寺に、考え込んでいた風丸は「ああ」と応じながら俯いた。
　不安そうな一年生たちの視線が、そして答えを待つ皆の視線が自分に集中しているのがわかる。
　こんな突拍子もないトラブルが起こった時、誰よりも頼りになるキャプテンは……円堂は、ここにはいないのだ。状況判断が誰よりも得意な指令塔の鬼道もいない。監督たちの指示を仰ぐこともできない。
　そんな状況の中、自然と己に集まったチームメイトたちの視線の重みを、風丸は臆さず、そして逃げることなく受け止めた。……円堂の代わりに。
「行くしかないだろう。……試合に遅れるわけにはいかないからな」
　驚いた一年生たちが、口々に不安を訴える。けれど、ほかの答えなど思いつかない。
　円堂がここに居ないから……だからこそ、風丸たちはヤマネコ島に向かい、アルゼンチン戦の準備を整えておかなければならない。
　円堂は必ず来るのだ。鬼道たちと一緒に。だから、彼らが合流した時、すぐに試合ができるようにしておかなければ。
　風丸とまったく同じことを考えたのだろう。染岡が、円堂は必ず来ると言って笑ってみせた。豪炎寺も深く同意の頷きを返す。
　頼れるストライカーたちのおかげで、チームの心が繋がる。全員の覚悟が、決まった。
「それじゃ、行くぞぉっ！」
　風丸の気合いに、おお！と応えたチームメイトたちが、次々とキャラバンに乗り込んでゆく。
（……円堂、みんなで先に行って、待ってるからな。……だから必ず……っ！）
　選手たちもマネージャーも全員が乗ったのを確認して最後にキャラバンに乗り込みながら、風丸はぎゅうっと拳を握りしめた。