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 風丸さんを愛する稲妻11ブログ。現在、凪いでいます。
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リクエストを書いてる途中だったんですが、
別方向に脱線したネタを思いついてしまったので…。

・立綱の立向居とリュヒロの緑川。
・立向居視点だけどメインはリュヒロ。円風もちょっと含まれます。
・リュウジ1年生設定(たちむとタメ語で喋ってます)
・誤解と勘違いは青春の醍醐味です。




 * * * * *


 グラウンドの端にできた日陰にしゃがんで疲れた体を休ませながら、立向居は練習に打ち込む仲間たちを眺めていた。
 そんな立向居の隣に忍び寄るようにして近づき、同じようにしゃがみ込んだ緑川がそっと囁きかけてきた。
「なあ、立向居ってさ……好きな人とか、いる?」
「っ!? と、突然なんだよ……!」
 ぎょっとして、続いてかあっと頬を染めて、立向居は緑川を睨んだ。
 からかわれた。そう思っての抗議の言葉は、けれど予想外に真剣だった緑川の表情に封じられて舌の上で消える。
「いる?」
 重ねて尋ねられ、立向居は真っ赤な顔で緑川から視線を逸らし、それでも生真面目に小さな頷きを返した。
「……うん。……いる、けど……」
「やっぱり!」
 ばん、と地面に両手を突いて詰め寄ってきた緑川が、立向居の耳元で声を潜める。
「それってさ……やっぱりキャプテン?」
「ちっ、違う違う! なんでそうなるんだよ!」
 両手を胸の前で左右に振って、慌てて否定した立向居に、緑川は首を傾げる。
「違うの? だって立向居、キャプテンのことあからさまに好きじゃん」
「それは……たしかに円堂さんのことは好きだし尊敬してるけどさ。……オレが、特別で大切だって……思ってるのは……」
 語尾がだんだん小さくなって俯いてゆく。そんな立向居に、フィールドから元気の良い声がかけられた。
「おーい、立向居っ!」
「つっ! 綱海さんっ!?」
 跳ね上がるように立ち上がった立向居の顔を、駆け寄ってきた綱海がのぞき込む。
「どーしたよ? さっきからんなとこ座って、具合でも悪ぃのか? なんか顔、赤いぜ?」
「いえ、違います、大丈夫です! もう少ししたら戻りますからっ」
「そっか、んじゃ大丈夫だな」
 ぶるぶると過剰に首を振った立向居に笑って、綱海はその髪をくしゃくしゃとかき回した。
「……あんま心配かけんじゃ……じゃなくて、あんまサボってんじゃねーぜ? 緑川、お前もな! 早く練習始めんだぞ!」
 しゃがんだまま見上げている緑川にも声をかけて、綱海がフィールドへと駆け戻ってゆく。
 はーい、と緩い返事を返した緑川が、すとん、と落ちるように隣に戻ってきた立向居に向かって、ふーん、と頷いた。
「……なるほどね」
 抱えた膝に赤い顔を埋め、立向居は上目使いでそっと緑川を窺う。
「バ、バレた……?」
「そりゃ、まあ。……あっ、今の感じだと、もしかしてもう付き合ってたりする?」
 ひゃっ、と焦った立向居は、何も答えていないのに、緑川に正解を教えてしまったらしい。
「そっか、そうなんだ……。ちょっと、意外だったかも」
「そ、そうかな? 綱海さんは……可愛いよ?」
 何が意外なのか判らずに反論すると、緑川はさらに複雑そうな苦笑を浮かべる。
「それも……かなり意外かも……」
 けれどそんな緑川は、ゆっくりゆっくり俯いて、小さなため息を吐いた。
「……いいな、立向居は。好きになった人と両想いでさ」
「緑川?」
 戸惑ってぱちぱちと瞬く立向居に、小さな声が問いかけてくる。
「なあ立向居……、円堂さんが恋のライバルってさ……勝ち目、ぜんぜんないと思う?」
「え、えええっ?」
 絶句して大きく目を見張り、今度は立向居がぐっと緑川に詰め寄る。
「み、緑川、お前……風丸さんが好きだったのか!?」
「はぁっ? な、なんで風丸さん……?」
「だって、円堂さんと風丸さん、付き合ってるじゃないか。知らないのか?」
 誰かに聞こえてしまわないように声を落として囁くと、緑川は驚いた顔でただ首を振る。
「晴天の霹靂……初耳だよ……。ああでも、だからあの二人、あんなに一緒にいるのか……」
「あ。ええっと……」
 知らなかったのだとしたら、余計なことを言ってしまったことになるだろうか。少し焦った立向居を余所に、緑川はぶつぶつと小さな声で何か呟いている。
「あれ? でも、それじゃあ……の気持ちって……報われない片思い? だったら、オレにもまだチャンス、ある……!?」
「緑川……? うわっ!」
 こわごわその顔をのぞき込んだ立向居の両手を、晴れ晴れとした顔の緑川がぎゅっと握りしめてきた。
「ありがとう立向居、オレ、がんばってみるよ!」
「う、うん。よくわからないけど、その調子だよ。がんばれ、緑川!」
「ああ!」
 握られた手がぶんぶんと上下に振られる。そういえば結局、緑川の想い人は誰なのだろう。気合いの入る緑川に、立向居は小さく首を傾げた。


 * * * * *


誰ってヒロトですよ。どっちもニブい年下ダーリンたち。

ちなみにこのヒロトはちゃんと緑川のことを好きだと思ってるはずなんですけど、
自信のない緑川が勝手に勘違いして、自分は片思いなんだと思いこんでいます(笑)
でもヒロトも「そうじゃないんだけどなぁ……」と思いながらも、わざわざ訂正したりはしない。
付き合うまでのリュヒロはだいたいそんな感じだと思ってます。



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