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 風丸さんを愛する稲妻11ブログ。現在、凪いでいます。
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A.Kさまよりいただいたリクエストの立綱。
> イチャイチャしてる立綱で、二人で海に行く話。
> 可能なら「海に向かって叫ぶ綱海」を入れて。

一緒に海に行ってはいないですが、海に叫ぶ綱海さんと
イチャイチャする恥ずかしいバカップルは書けたと思います!
……たぶん。

時系列は2期~3期の間くらいかなー。

 



 * * * * *


 ギラギラと輝く陽射しを避けるために被せたタオルの下から、まだ買ったばかりの携帯が綱海を呼んでいる。
 けれど綱海は両手で耳を塞いで、そのノリの良い曲に……恋人である立向居からの着信に気が付かない振りをした。
 やがて鳴り止んだ携帯にほっと息を吐きだす。
 たかが携帯相手に身構えてしまうなんて綱海らしくない。けれど……。
 
『綱海さん! 大好きです、綱海さんっ!』
 
 子犬のように綱海に懐いて、ストレートに気持ちをぶつけてくる立向居の声が、綱海の脳裏に蘇る。
 
『あの、綱海さんだってオレのこと好きですよね? ……なのに、どうしていつも好きって言ってくれないんでしょうか? オレ、ちゃんと好きって言って欲しいです』
『うぇっ? あー、っと、なんだ。まあ、そのうちな!』
 
 不安そうにそうせがんできた立向居をノリ悪くごまかしたのが3日ほど前に電話をした時で。それから電話の度に、「そのうちって、いつごろですか…?」と尋ねられてしまうことが、綱海が立向居からの着信に構えてしまう原因になっていた。
 ひょろりと細い外見や、年相応に可愛らしいその言動から想像するのは難しいほどの力強さ。努力家で、いつでも一生懸命で、そして綱海をとても好いてくれている立向居に、綱海は強く惹かれている。
 もっと一緒にいたい、もっといろいろなことを話したい。まだ知らない立向居のことをもっと知りたい。
 そう思ったから、綱海は携帯電話を買うことにした。
 これさえあれば、海を挟んだ向こう側にいる立向居といつだって話せる。苦手…というか、打ち方すら知らなかったメールだって、最近はずいぶん打てるようになってきた。
 
 そう、海に行くには邪魔だし、今まで必要だとも思っていなかった携帯を、立向居と繋がるためだけに持ってしまうほど、綱海は立向居を好きだと思っているのに。
 
「……ふー……」
 波音にさらわれてしまうほど微かなため息を落として、綱海は砂浜にどっかりと座り込んだ。
 砂に立ててあるサーフボードと、携帯電話…の上に被せてあるタオルにちらりと視線を走らせ、ぎゅっと眉間に皺を寄せる。
 サーフィンをするためにこうして海辺に出てきたはずなのに、波に乗りに行く気にはとてもなれない。気付かない振りをしたさっきの電話も気になるが、そちらにもやはり手は伸びない。さて、どうしたものか。
 うーうーと唸りながらそのまましばらく考え込んでいた綱海だったが。
「だーっ! もう、なんだってんなことで悩んでんだオレはぁっ! だいたいなぁ……っ」
 叫んでくしゃくしゃと髪をかき回してから、勢い良く立ち上がった綱海はばしゃばしゃと海に踏み込んで、沖に向かって大きな声を張り上げた。
「立向居の、ばっかやろーーっ!! 好きって言えって言うけどなぁ! お前のことが好きで好きで、大好きだなんて、恥ずかしくて言えるわけねーだろーがーーーっ!」
 そんな綱海の本音に答えるのは、波の音だけ……だったはずなのに。
「そ、そうだったんですか?」
「っ!?」
 背後から聞こえた『聞こえるはずのない声』に、綱海はぴしりと固まる。
 ぎぎぎっ、と音が聞こえそうなほどのぎこちない動きで振り返ると、砂浜にはうっすらと頬を染めた恋人の姿があった。
「たっ、ちむかい……っ!?」
「はい。こんにちは、綱海さん」
「ばっ、おま、いつから……? っていうか、なんでここにいんだよ!」 
 あわあわと焦る綱海に、立向居は少し困ったような笑顔で説明を返す。
「沖縄に遊びに来たんです。これから会いに行きますってさっき電話したんですけど、繋がらなくて」
「あー…、そっか、さっきの……」
 無視してしまった電話を思い出して気まずく視線を泳がせた綱海だが、立向居はそんなことはまったく気にしていない様子で、胸の前でもじもじと両手を組み合わせている。
「あの、それで、大海原中に行ったら、ここに居るだろうって音村さんが教えてくれて、だから来てみたんですけど……えへへっ」
 にこにこにこにこ。偶然聞いた綱海の本音…告白に、喜びが押さえきれないのだろう。立向居の満面の笑顔に、綱海の気まずさは別の方向にシフトする。
「な、なに笑ってんだよ……」 
「なんでもないです」
 さらりと返されて、ぐっと言葉に詰まる。これはいけない。なんとかしなければ。
「いっ、いいか立向居! さっきのは忘れろ! 綺麗さっぱり海に流して……」
 けれど立向居は、笑顔のままできっぱりと首を振った。
「嫌です。忘れません。だって、せっかく綱海さんがオレのこと好きって……」
「~~~だーーーっ!!」
 かあっと頬に血が上る。照れのまま、綱海は足下に寄せてきた波を手のひらにすくい、立向居に向かって放り投げた。
 ばしゃん、という水音と、立向居の悲鳴が上がる。
「冷たっ! なにするんですか、綱海さんっ!」
「うるせぇ! おりゃぁっ!」
 問答無用、とばかりにつぎつぎ水をかけると、手をかざして飛沫を避けていた立向居がぱっと走り出した。
「あっ! こら、逃げんなぃ!」
「逃げませんよ! お返しです! えいっ!」
 綱海から少しだけ離れた場所から海に走り込んで、立向居もまた、すくった海の水を綱海へと放り投げてくる。
「うわっ! このぉ、やったなぁ!」
 水をかけ、相手を捕まえようとしては、逃げ、また
水をかける。ばしゃばしゃと波を蹴立てて走り回る。その楽しさに、綱海は細かいことは気にしなくても良いような気分になってくる。
「そうだよな。好きは好きなんだし、言うのも言われるのも別に恥ずかしがる必要なんかないかもしれねぇな!」
「そうですよ!」
 悟ったようなことを言いながら、それでも逃げ続けている綱海を追いかけながら、立向居が両手を筒のような形にして口元に当てる。
「綱海さーんっ! いいですか! オレ、綱海さんが大好きですからねーっ!」
「……っ!」
 前言撤回。そんなことは海の広さに比べれば……と思ってみても、恥ずかしいものはやっぱり恥ずかしい。
 告白にぎくりと足が止まった綱海に、追いついてきた立向居が飛びつくように抱きついた。


 * * * * *


うみべのばかっぷる=みずかけっことおいかけっこ。
 
……という不滅のお約束を踏まえてみましたっ!
なんか、すみません……。

でも、リクしてくれたの、実は立綱フレンズの
菌さんだったというオチがつくのでまあいいかな?(笑)

リクありがとうね! こんなんでも喜んでくれたら嬉しいです!

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