SS「あの星をめざせ！」

カレンダーに合わせたお話が書けるなんて久しぶりだーー！

ということで、七夕小説・その１

雷門初期メンバーでわきゃわきゃしてます。
鬼道と一之瀬とマネジ三人がいないのはともかく、
うっかり豪炎寺と土門も入れそびれました。……すまん。

円風っぽいのはもう仕様ですよー。

　＊　＊　＊　＊　＊


　あっ、と声を上げた円堂に視線が集まる。
「もう七月じゃん！　そろそろだよな」
「ああ、そういえばそうだな」
　即座に風丸が応じる。
「なあなあ、今年はどっちだっけ？」
「去年は俺だっただろ。だから、今年は円堂の番」
「わかった。任せてくれよな！」
「頼んだ。去年は鉄塔広場の少し下で取ったぜ」
「じゃあ後でそこ、見てくるよ」
　交わされる会話は円堂と風丸との間でだけ通じていて、取り囲む他のメンバーたちはすっかり置いてきぼりになっている。
「なになに？　二人とも、さっきからいったい何の話してんのさ？」
　蚊帳の外など性に合わない松野が、二人の間に容赦なく割って入った。
「ああ。ほら、もう七月だろ？」
「オレと風丸で、毎年かわりばんこに準備することにしてんだよ」
「だから！　何をだって聞いてんだろ！」
　埒があかない、と声を荒げた短気な染岡に、円堂と風丸は顔を見合わせる。
「だから、あれだって、あれ！」
「七夕だよ。七月七日のさ」
「たなばたぁ～？」
　ひっくりかえった半田の声に、風丸が意外そうに目を見張る。
「半田は七夕やらないのか？」
「そりゃ、この年になってなぁ」
「ああ。ササ飾って、短冊書くってか？　女子供じゃあるまいし、中学に入ってまでやらねぇだろ、普通」
「ええ、染岡くんの言うとおりですよ」
　半田と染岡、目金の言葉に、円堂が身を乗り出す。
「なんでだよ！　やろうぜ、七夕。楽しいじゃん！」
「楽しいって、お前なぁ……っ、うわっ！」
「…………」
　苦笑してさらに言い足そうとした染岡の背後から、ぬっと影野がその存在を主張してきた。
「かっ、影野？　どうかしたのか？」
　風丸に問われ、影野はぼそぼそと言葉を紡ぐ。
「うち……やるよ……。七夕……」
「うちもやるー。っても親がだけど。ボクも短冊くらいは書いたりするし」
「ほら、影野もマックスも七夕やるって！」
　にっ、と笑った円堂の横で、壁山も小さく手を上げる。
「キャプテン、オレのウチも毎年、弟と一緒に七夕するッス」
「ウチはやらないですけど……」
「宍戸はおいといて、うちもやりますよ、キャプテン！」
「ウチもやるでやんス。やらないとなんだか夏が来るって気がしないでやんス」
「ははっ！　そうだよな！」
　円堂が頷き、隣で聞いていた風丸も笑う。
「ああ、毎年やってるからな。……そうだ、円堂、どうせなら今年の笹は部室に置いたらいいんじゃないか？」
「いいな！　そしたらみんなで短冊書けるし！」
「なあなあ、円堂、風丸。部室に飾るんなら、先に笹、取ってきたらいいんじゃないか？」
　手のひらを返したような半田の言葉に、すかさず松野がニヤニヤと突っ込みを入れる。
「あれっ？　半田は七夕なんかやらないんじゃなかったの？」
「うっさいな！　別にいいだろっ！」
　むくれる半田を余所に、少林寺と栗松が円堂に駆け寄ってくる。
「キャプテン、短冊も作るでやんスか？」
「作るぜ！　な、風丸？」
「ああ。お前たちも手伝ってくれよ？」
「もちろんですよ、風丸さん！」
「そういえば、キャプテンは何をお願いするつもりなんですか？」
　宍戸の言葉に、円堂がにかっと笑う。
「決まってるだろ、そんなの！」
「……そうですね。このタイミングで円堂くんが短冊に書こうとすることなんて、一つしかありませんね」
「オレもわかったっス！」
「おいおい、そりゃ円堂だけの願い事じゃないぜ」
「……みんな、同じ気持ち、だ……」
「そーいうこと！」
　円堂の笑顔が部室中に広がって行く。
「今年の七夕の願い事はぁ……」
『フットボールフロンティア、優勝っ！』
　部員たちの声が、綺麗に一つに重なった。


　＊　＊　＊　＊　＊

円風を書こうとしたのに、部室からスタートしたら
みんながどんどん出張ってきて収拾つかなくなったので
あきらめてオールキャラにしちゃった、という七夕話。
だって初期メンバーが書きたかったんだ…！

あ、豪炎寺は病院、土門はスパイ中ってことで、ひとつ。

つか、円風は幼稚園くらいの頃から毎年かわりばんこに笹取ってきて、
二人で短冊作ってお願いごとしてるといいよ！　この年まで！（笑）