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メモリアル円風デーすぎたので、久々に円風を書いてみました!
「円風でお題・10の優しい恋」の「7 幸せ」から10年後の二人になります。
相変わらず、円風はナチュラルに伴侶です。そういう時空です。
でも、イナダン映画がイナクロ終了後っぽい雰囲気だったので、
一応そのあたりの時間軸だと思っていただければマストです。
そして明日はイナクロ発売日!楽しみです!
風丸さんは何でスカウトできるのかなっ…!
* * * * *
緑と赤と白のイルミネーションで彩られた街は、夜だというのにきらきらと輝いていて、歩いているだけでも楽しい気持ちになってくる。
まして今は、大切な人と一緒に、美味い夕食を食べてきた帰り道だ。少しぐらい浮かれていてもかまわないだろう。
食事と一緒に少しだけ飲んだワインの酔いも手伝って、上機嫌な風丸は、そんなことを考えながら隣を歩く恋人……円堂を見つめ微笑んだ。
その視線に気付いた円堂が、風丸に微笑み返す。
「どうした、風丸?」
「いや。クリスマスだな、と思って」
「ああ、そうだな。もうすっかりクリスマスだ」
円堂がぐるりと辺りを見回せば、きらびやかなイルミネーションと、二週間後に迫った祭日を祝うため、あちこちに飾られたツリーやリース。それから、隣で楽しそうに笑っている恋人。
……クリスマスというより、しばらく離れていた平穏な日常が戻ってきたことの方を強く実感して、円堂はうん、と深く頷いた。
「なんだよ、急に頷いたりして」
満足そうにする円堂に首をかしげた風丸に、円堂は別の話題を返す。
「なあ、さっきのローストビーフ、美味かったな」
「ん? そうだな、ローストビーフも美味かったけど……俺はあの、エビと野菜とチーズの焼いてあったやつが気に入ったな。あと、ワインも」
円堂に言われて、風丸も美味しかった夕食を思い起こす。
今日の夕食は久しぶりの外食で、昔馴染みの友達が進めてくれたレストランでディナーコースを堪能してきたのだ。
「雷雷軒もいいけど、たまには贅沢するのもいいな。わざわざお前に勧めるだけあって、店の雰囲気もカジュアルで良かったし」
「コースの料理は苦手だけど、ああいう店ならまた行きた……」
言いかけた円堂の言葉と足が、不意に止まる。
つられて立ち止まった風丸が円堂の視線を追うと、そこにはちょうどクリスマスツリーのように飾られた、大きな街路樹が立っていた。
「あれ、この木……今でもクリスマスツリーなのか」
「風丸も覚えてたか」
「ああ。『クリスマスツリーの下でキスをすれば幸せになれる』ってやつだろ」
付き合い始めたばかりのクリスマス、通りかかった見知らぬカップルの、迷信ともまじないともつかない会話を耳にして、円堂と風丸はこの木の下でキスをした。
「懐かしいな。あれからもう10年か……」
……急に呼び起こされた懐かしい記憶に、風丸は目を細める。その隣に、そっと円堂が寄り添った。
「風丸」
名前を呼ばれ、円堂に視線を向けたとたん、唇が重ねられる。
「あ! っ、円堂、お前……! 酔ってるな!?」
二人が居るのはイルミネーションに彩られた駅前の路上で、辺りにはそれなりに人が行きかっている。
特に誰かの目に留まった様子はなかったけれど、交わしたキスと照れを誤魔化すため、風丸はわざと声を上げ、円堂を押しのけるような仕草をしてみせた。
こんな時、大人は便利だ。酔っ払っているのだと言えば、男同士がべたべたと密着してふざけ合っていても、さほど不審に思われない。
笑いながら円堂を押す風丸の意図に気づいて、調子に乗った円堂は両手を広げ、その中に風丸を閉じ込めてしまう。
「うん、酔ってる酔ってる。かっぜまる~!」
「こら! だからってやりすぎなんだよ! 外なんだぞ!」
苦笑しつつ、腕から抜け出そうとする風丸の耳元に、円堂が真剣な声で囁いた。
「……こうやって俺たちが幸せなのは、10年前のキスのおかげかもしれないな」
「ん……まあ、そうかもしれないな。今年は本当にいろいろなことがあったけど、なんとか無事に終わりそうだし」
風丸は少しだけ目を伏せる。フィフスセクターの件がようやく解決したと思ったら、円堂や雷門の後輩たちが、サッカーの存在を巡る戦いに巻き込まれていって……。
時空を超えた戦いに風丸が直接関わることはなかったけれど、サッカーも、そして円堂も無事に取り戻すことができた。
「とりあえず、ここにいる俺は幸せだけど、お前が変な石になってたり……居なくなってたりする時空もあって、そこには一人でクリスマスを過ごしてる俺がいるかもしれない……そう思うと、ちょっと複雑な気もするな」
時空がいくつもあるという概念への混乱と、安心が、そんな言葉になって零れる。円堂がぎくりと動きを止めた。
「……ごめん」
風丸を包み込んでいる腕に、ぐっと力が籠る。
「なんだよ、別に深い意味があって言ったわけじゃないぞ? 第一、お前が謝ることじゃないだろ」
「でも、ごめん。俺、風丸のこと一人にした」
頑なに首を振って抱きしめてくる円堂に、風丸は苦笑して、ゆっくりと息を吐いた。
円堂が言うのは自分のことではない。少なくとも風丸にその記憶はない。けれども。
「…………愛されてるなぁ、俺」
「えっ?」
珍しいことを呟いた風丸に、円堂が目を丸くする。
「えっ、ってなんだよ。だって、そうだろ? でも、ここにいる俺たちは俺たちなんだから、それでいいだろ」
笑いながら、風丸は円堂の背中に腕を回した。
知らない時空で寂しくしているかもしれない自分には申し訳ないが、コート越しに伝わる体温も、揺るぎない腕も、間違いなく風丸の傍に存在している。これ以上の幸せは、今の風丸には思いつかない。
「風丸……ああ、そうだな。そうだよな」
驚いた顔をしていた円堂も、風丸の笑顔につられるように、見慣れたいつもの笑顔を浮かべた。
並行して存在する時空に、たとえ自分たちとは違う自分たちが存在しているのだとしても、今、円堂が感じている幸せは揺らがないし、腕の中の大切な存在が消えることもない。
「なあ風丸、もう一回キスしてもいいか? 幸せになるために」
「……まあ、クリスマスだしな。……いいよ」
ここが外だとか、誰か見ているかもしれないとか、酔っぱらいのフリとか、そんなことはもうどうでもよかった。
煌めくツリーの下で、二人の唇はもう一度、重なっていた。
* * *
(お礼SS・円風2種+α)



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