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 風丸さんを愛する稲妻11ブログ。現在、凪いでいます。
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67話(総集編ファイア)の直後に当たる話。
風丸と吹雪しか出ていない二人の友情話ですが、
私は円風のつもりで書いたので円風カテゴリに入れておきます。


えー…、これで円風はないわー…。って思った方は、
普通に友情話ということで読んでやってください。
The・他力本願!




 * * * * *


 明日帰るのなら、その前に鉄塔広場に行ってみるといい。きっと今この時間なら、円堂もそこにいるはずだから。

 ……そう吹雪に伝えたのは風丸だった。

 だから、ちゃんと吹雪が円堂に会えたか気になって、風丸は鉄塔を覗きに行ったのだ。

「史上最強チーム、か……」

 円堂がいつも特訓している高台へと続く階段の下で、看板に寄りかかりながら、風丸はつい今さっき耳にした円堂の言葉を反芻する。

 そんな風丸に、階段の上から驚いたような声がかけられた。

「……風丸くん?」

 見上げれば、そこには吹雪の姿があった。

「ああ、吹雪か。円堂たちは?」

「まだ上にいるよ。キャプテンが少し豪炎寺くんと二人で話したいみたいだったから、ボクだけ先に戻ってきたんだけど……」

 言葉を切った吹雪は、そこで複雑な色をたたえた瞳で風丸を見つめた。

「……? どうかしたのか?」

「ねえ、もしかして気にしてる?」

「なにを?」

 首を傾げた風丸に、吹雪は少し迷ってから口を開いた。

「今、『史上最強チーム』って……キャプテンが言ってたの、聞いたんでしょ?」

『改めて思ったんだ。このメンバーが史上最強のチームだ、って』

 円堂の言葉が、また風丸の脳裏に蘇る。

「ああ、聞いたぜ」

 頷くと、吹雪は慌てて階段を降り、風丸に駆け寄ってきた。

「あのね、風丸くん…さっきのキャプテンの言葉は、別に風丸くんたちのことを忘れて言った訳じゃないと思うんだ」

「えっ? ……ああ、違う違う」

 言い募る吹雪に一瞬首を傾げるが、すぐにその意味に気づいた風丸は、笑って首を振った。

「そんなことを気にしてたわけじゃないぜ。円堂がそんなつもりでああ言ったはずはないし……いや、気にしてないって言うのも違うな」

 言いながら、風丸はぎゅっと拳を握りしめる。

「今の円堂が言う史上最強チームにオレが入っていないことは、やっぱり悔しいからな……」

 けれどその悔しさの原因は、プレッシャーに負けて前に進むための一歩を踏み出せず、エイリア石という甘い暗闇に飲まれてしまった風丸自身の心にあるのだ。

 この悔しさは当分の間、風丸について回るのだろう。

 けれど、あの戦いで完全に闇を振り払ったのだから、いつもでもダークエンペラーズのことを引きずるのは、風丸は嫌だった。

「……まあ、いろいろ思うところがあったから、円堂に会う前に気持ちを落ち着けたくてな。それでここにいたんだ」

「そうなんだ……」

 多くを語らずにさらりと流した風丸だが、吹雪の表情はまだ晴れない。

「…………でも……それじゃ、寂しくない?」

 聞こえるか聞こえないかわからないぐらいの声でそう呟いた吹雪から、心配といたわりの気持ちが伝わってくる。

 そんな吹雪の顔を、風丸はそっとのぞき込んだ。

「なあ吹雪、円堂はキャプテンなんだ。サッカーのチームはベンチも入れて最高16人。今チームにいる自分以外の15人を最強だと思えないようじゃ、キャプテンの資格なんかないと思わないか?」

「それは……かもしれないけど、風丸くんはそれでいいの?」

「いいんだよ。円堂はいつでも、何があっても絶対に前を向いてる。そういう奴だから……オレはあいつが大好きなんだ」

 ごく当たり前の口調でそう言って、風丸はふわりと笑う。

「吹雪だって、あいつのそんな所を気に入ってるんじゃないのか?」

「……うん」

 風丸につられたように笑顔を浮かべ、吹雪が頷く。

「そうだね、そんな円堂くんが最強だと思ったメンバーだったからこそ……」

 けれどそこまで言いかけて、吹雪ははっと言葉を止め、風丸に視線を向けた。

 その視線から続く言葉を悟った風丸は、吹雪の言葉を引き継いで続ける。

「……円堂が最強だと思ったメンバーと戦ったから、オレや染岡たちも、もう一度サッカーの楽しさを思い出すことができた。オレはそう思ってるぜ」

「風丸くん……」

「まあ、次に円堂が『最強』って呼ぶチームには、オレも絶対に入ってみせるけどな!」

 きっぱりとそう言い切ってから、風丸はひどく驚いた顔でこちらを見つめている吹雪に気がついた。

「なんだよ、吹雪」

「うん……なんか、風丸くんがすごく格好良くてびっくりした」

「は? なんだよそれ!」

 目を丸くした風丸だが、すぐに思い直して苦笑する。

「まあ、吹雪と会ってから、いろいろ考えることも多かったしな。変なとこばっかり見せてたから、今が少しはマシに見えてるんじゃないか?」

「ううん。そんなことないって。本当に格好良いよ、風丸くんは」

「おい、吹雪っ…!」

 本気の声音でそう言って風丸を大いに照れさせてから、吹雪はすっと、風丸に手を差し出した。

「ねえ、握手してもいいかな? 一緒にキャラバンに乗ってた時は、ボクも自分のことで手一杯だったけど……最後に風丸くんとこんな風に話せてよかった」

「ああ、オレもだよ、吹雪」

 頷いて、風丸は差し出された手をしっかりと握った。

「風丸くん、キャプテンやみんなと一緒に絶対に北海道に遊びに来てね。それで、また一緒に風になろう?」

「そうだな。またスノーボードで風になりに行くよ」

「うん、約束だからね」

 握手の間から笑い声が弾ける。

「あっ、風丸くん、キャプテンと豪炎寺くんが降りてくるよ?」

「本当だ。……おーい、円堂っ! こんな時間まで練習してたのかっ?」

 ちょうど良く姿を見せ、二人の名前を呼びながら階段を下りてくる円堂に、風丸と吹雪は顔を見合わせてから、大きく両手を振って応えた。


 * * * * *


キャプテンが「史上最強チーム」って言ってたのにちょっとだけ引っかかって、
私の脳内の風丸さんと「あれはどうなの?」って会議した結果、
こんな話ができあがりましたー。

キャプテンにすぐ文句とか言うポジションにいても、
風丸さんだけは円堂さんの本質を理解してて、
そんな円堂さんをまるごと好きでいて欲しいんですよねー。(願望)

あと、沖縄あたりで秋ちゃんが「いいなぁ、男の子って。
あんなことがあったのに、もう笑ってボールをおいかけてる」
的なことを言ってまして。まったくだと思います!

そういうイナイレの人間関係ってすごく良いよね…。

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