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以前発行した「ふたりで進む 道のむこうに(R-18)」の続きで、
思いを遂げた翌朝のピュアな円風。
浅葱さん、リクエストありがとうございますー! 遅くなってしまってホントすみません…。
えーっと、なにせ事後なのでそういう雰囲気です。
18歳未満に読ませられないほど直接的な描写は含んでいないつもりですが、
ガチのBLが苦手な方はご注意ください!
あと、私がのろのろしてるうちに元の本が完売してしまいまして…。
ありがたくも申し訳ない感じなのですが、いちおう前を読んでいなくても、
細かいネタ以外は通じるように書いたつもりです~。
* * * * *
薄暗い部屋のベッドの上に、逃げ場を奪うように両手を付いて。素肌を晒した円堂は、同じく素肌の風丸を見下ろしていた。
『円堂……?』
首を傾げた風丸の青い髪がさらりと流れて、首筋が露わになる。その細さと肩の薄さに、身体の奥でざわついていた欲望という熱が、一気にその温度を上げた。
もっと近くで風丸を感じて、その全てを手に入れてしまいたい。
夢中で手を伸ばしながら、円堂の頭の奥には鋭いホイッスルの音と、イエローカードがちらついていた。
風丸が欲しくて仕方がない。けれどこんな風に奪い取るような真似をしたら、きっと風丸を傷つけてしまう。この衝動は、絶対に抑えなければいけない。
……そう思っているはずなのに、湧き上がる欲望も、突き動かされた身体も止まってはくれなくて。
『……ダメだ…っ!』
情けない自分に、円堂は奥歯を強く噛み絞める。
そんな円堂の耳に、怒ったような風丸の声が届いた。
『あのなあ、円堂!』
きくりと背中を強ばらせるが、するりと延ばされた腕は、声とは裏腹に優しく円堂の背中を抱きしめた。
『風、丸……?』
『大丈夫、オレは嫌じゃないぜ。だから、受け止めてやるよ……お前の全部』
『っ!』
そう言って、すべてを許してくれるような笑顔を浮かべた恋人に息を飲んだところで、円堂ははっと目を覚ましたのだった。
「……あれ? 夢……?」
呟いてから目を擦る。
夢から覚めたなら、今は現実を見ているはずだ。それなのに、円堂の目に映っているのは、見慣れた自分の部屋とは違う天井だった。
しかし円堂は、この天井を良く知っていた。
「ここって……風丸の部屋だよな……あっ!」
続けて呟いたところで、曖昧だった夢と現実が結びつく。
昨夜なにがあったのか……いや、自分と風丸が何をしたのかを思い出して、円堂は慌てて視線を傍らへと移した。そこには綺麗な青い髪が、波打つように広がっていた。
「よかった、全部夢だったらどうしようかと思った」
寝乱れた髪の向こうに、恋人……風丸の寝顔を見つけて、円堂はほっと安堵の息を吐いた。
さっき見ていた夢のように、風丸と無理に肌を合わせようとする……そんな夢を見てしまった円堂は、昨日一日、風丸のことを避け続けていた。
結局、練習を終えた部室で挙動不審の理由を問いつめられて、夢の内容を風丸に打ち明けることになってしまったのだけれども。
もっと触れたくて、けれどそのせいで風丸を傷つけてしまうことが怖くて、どうすれば良いかわからなくなっていた円堂に、話を聞いた風丸は手を差し伸べ、そして自分だって同じように、円堂と触れ合いたいと思っているのだということを打ち明けてくれた。
……だから二人は昨夜、誰よりも近い存在になったのだ。
狭いベッドに寄り添うように眠っているから、触れ合った部分から、風丸の体温が伝わってくる。
昨夜もずっと感じていたその温度に呼び起こされるように、甘く高く上がる風丸の声を思い出してしまって、円堂の頭にかあっと血が上る。
……けれど、見つめた風丸の寝顔がひどく疲れて見えることに気が付いた途端に、高揚した気持ちは円堂の中から消え失せてしまった。
二人の想いが重なったから、円堂たちはお互いを確かめあった。
それはとても幸せで、気持ちがよくて……けれど、円堂を受け入れてくれた風丸の身体には、物理的にかなりの負担がかかっていたはずだ。
夢中だったからあまり覚えていないけれど、ちょっと待て、と言われたのに待てずに続けてしまったような気もするし。
「風丸、大丈夫かな。痛そうだったし、やっぱりつらかったよな……」
反省しながら、円堂は上半身を起こし、風丸の寝顔をのぞき込んだ。
眠る風丸の呼吸は規則正しくて、苦しげな様子はない。
乱れていたその前髪を直し、そっと撫でてみたところで、ふいに風丸の瞼が震えた。
「……ん……えんど、う……?」
「あっ! ごめん、起こした?」
「いや……。今、何時だ……」
首を振り、掠れた声で呟いた風丸が、眠そうに瞬きながら身体を起こす。その肩から、掛けていた布団がするりと滑り落ちた。
「うわっ!」
露わになった肩はまだ素肌のままで、円堂は反射的に、見慣れているはずのその白さから視線を逸らした。
「え? あれ、オレなんで服着て、な……、っ!」
少し遅れて自分の身体を見下ろした風丸が息を飲んだ。
昨夜のことを思い出し、寝ぼけていた頭が一気に覚醒したらしい。
円堂と一緒にかけていた1枚の布団をぐいっと容赦なく引き寄せて、風丸は無言のままそれを身体へと巻き付ける。
「うわ!」
かろうじて下着は身につけていたものの、布団から放り出された円堂は、慌ててベッドの下に投げ出したままだった衣服を拾い集めた。
ベッドに背を向けたまま、捜し当てたズボンに足を通しす。そして着てきた上着を肩に羽織ったところで、円堂はそっと風丸を振り返った。
「あのさ、風丸」
呼びかけると、まだ布団を巻き付けたままの風丸の肩がびくりと揺れる。
その反応は円堂を拒絶しているかのように見えて、円堂はぎゅっと眉を寄せた。……けれど、布団に埋まるように俯いた風丸の頬は、耳の方まで赤くなっていて。
「風丸?」
「あ……円堂、その……」
ひどく困ったような視線が、布団の隙間から円堂に向けられる。
これは拒絶などではなく、照れているだけなのだと気がついて、円堂の胸がどきん、と高鳴った。
(なっ、何か言わなきゃ……でも、こんな時ってなんて言えばいいんだ……!?)
照れる風丸は珍しくて、そしてとても可愛く見えた。けれどそれをそのまま伝えても、怒られるのは間違いない
だろう。
揃って言葉を探しながら、円堂も風丸も、うろうろと視線をさまよわせる。
そんな沈黙を破ったのは、不意に口元を抑えて、けほけほと咳込んだ風丸だった。
「風丸!?」
「う……喉が痛ぇ……って、そうか、昨夜……」
掠れた声で呟いた風丸が、いたたまれない様子で顔を覆ってしまう。
少し考えて、円堂も咳の原因に思い当たった。……あれだけ高い声を上げれば、喉が痛くなるのも無理はないだろう。
いや、それよりも。
大切なことを思い出して、円堂はベッドの縁に座り、風丸を覗き込んだ。
「なあ風丸、身体は大丈夫なのか?」
「えっ? ああ、喉は痛いし、身体もだるいけど、なんとか……」
心許ない返事を返しかけた風丸だが、ひどく心配そうな様子の円堂に気がついて、慌てて力強く言い直す。
「いや、全然大丈夫だ! そりゃ、まあ……思ってたより大変だったけどな」
「……じゃあ、オレとしたの、嫌じゃなかった?」
重ねての問いかけに、風丸はまた言葉に詰まり、けれどそっと頷きを返した。そして、今度は逆に円堂に問い返した。
「オレのことより円堂、お前こそ嫌じゃなかったか? オレ、あまり上手くできなかったと思うけど……」
「まさか! そんなことないよ、だってすごく気持ちよかったし、風丸可愛かっ……」
「ばっ! わかったからそれ以上言わなくていいっ!」
うっかり滑らせた円堂の口を、予想通り怒った風丸の掌が塞ぐ。
飲み込まされた言葉に目を白黒させながら、けれど笑った円堂は、巻き付いた布団ごと風丸を引き寄せ、しっかりと腕の中に抱きしめた。
「風丸、オレさ、昨夜は本当に嬉しかった。……ありがとう」
「っ、お前なぁ……そうやってストレートに言われたら、照れてる方が恥ずかしくなるじゃないか。まあ、そんなところが円堂らしいけど」
円堂の腕の中で小さくため息をついて、けれど笑った風丸は、円堂と視線を合わせた。
「ここまで来るのにさんざん迷ったりしたけど、お前とこうなったこと、オレは後悔なんかしないからな。絶対に」
まるで宣言するかのようなその言葉が嬉しくて、円堂はぐっと風丸に顔を寄せる。
……けれど二人の唇は、ベッドサイドで鳴り始めた無粋な電子音によって、触れあう直前に阻まれてしまった。
「なんだよ、いいところだったのに!」
がくん、と肩を落とした円堂が、音の源……アラームを響かせた目覚まし時計を恨めしそうに睨んだ。
「すまん、止め忘れてた。昨夜はそんな余裕なかったからな……って、円堂? どうした?」
手を伸ばしてアラームを解除しながら、風丸は時計を見て凍り付いたように動きを止めた円堂に首を傾げた。
「だ、だって、今日って土曜だろ? もう朝練始まってる時間じゃないか! 早く支度……っ!」
「今日は土曜だけど部活はない日だったろ。昨日一之瀬たちとも話して……ああ、あのとき円堂はいなかったのか」
慌てる円堂に呆れた顔を向けながら、風丸はさりげなく、巻き付いていた円堂の腕から抜け出してしまった。
「……そう言われればそうだったような……あれっ? 風丸?」
「なんだよ。どっちにしろ、もう起きた方がいいだろ。円堂、オレの服、取ってくれ」
昨夜の名残のように漂っていた甘さは、もう部屋のどこにも見えない。
ほんの少し感じた残念さを、円堂はぐっと飲み込んだ。
いつも通りに動き出したとしても、この朝が特別で、円堂と風丸の新しい始まりであることは間違いないのだから。
「へへっ」
「何か笑うようなことあったか?」
まだ掠れたままの声に「なんでもない」と答えながら、円堂はベッドの下から恋人のシャツを拾い上げた。
* * * * *
あんまりBLすぎる話は、誰でも見れるブログでは公開しないようにしよう、とか
いちおう自分ルールとして思ってたんですが、これはギリアウトかもしれないなぁ(笑)
でもせっかくいただいたリクエストだし、久々更新だし、大丈夫問題ない!
なーんてことを考えながら半年ぐらい抱えてて、ようやくエンドマークが付けられました。
そのほかにもいろいろ言い訳したいことはあるんですが、とりあえず飲み込んで
浅葱さん、あの続きを書かせてくれて本当にありがとうございました…!
(お礼SS・円風2種+α)
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