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11月1日のスパークのペーパーに載せてたSS。再録です。
雷門Fフロンティアメンバーオールキャラがわきゃっとしてる話。
文化祭の話ですが、「模擬店! ステージ!」 みたいな
高校っぽいのを期待して読むとがっかりしますよ!
雷門Fフロンティアメンバーオールキャラがわきゃっとしてる話。
文化祭の話ですが、「模擬店! ステージ!」 みたいな
高校っぽいのを期待して読むとがっかりしますよ!
* * * * *
「できたぁ!」
バンザイ! と円堂が勢い良く両腕をあげた。その右手に握られていた刷毛から、黒いペンキが飛び散る。
「うわっ!」
「こら円堂っ、何すんだ!」
「……キャプテ~ン」
慌てて飛び退った土門と染岡の間で、まともに被害を被った宍戸が涙目で円堂を見上げた。
てんてんと黒くペンキが跳ね、ソバカスが倍になったかのような宍戸の顔に、円堂を含めた全員が噴出す。
「ぶはっ! 宍戸お前、その顔! ……っははは!」
「ひっ、ヒドイですよ染岡さんっ! キャプテンも! みんなも!」
「悪い、宍戸、でもさ……くくっ」
笑いを堪えながら、円堂が謝る。同じく笑いを堪えながら、土門が宍戸の背を水場のある方へと押しやった。
「ほら。早く顔洗ってこいよ」
「そういう土門もね」
「えっ? マジかよ~!?」
一之瀬に笑われ、顔を触った土門が黒く染まった指先に悲鳴を上げ、先に行った宍戸を追いかける。
「はははっ……あっ、そういえば絵は無事なんだろうな?」
笑い溢れる中、ふいに真顔に戻った風丸の言葉に、サッカー部の努力の結晶を隅々まで確認し終わっていた目金が、その眼鏡に手をかけながら頷いた。
「なんとか問題ないようですよ。まったく、気をつけてくださいよ円堂くん」
「まったくだ。文化祭はもう、明日なんだぞ」
文化祭…とはいっても、雷門中の文化祭は高校でやるようなお祭り騒ぎのものとは違い「文化研究なんたらかんたら」と難しい名前のついた、芸術発表会のようなものだった。
クラスごとの発表とは別に、各運動部はクラブ参加として、巨大な壁画を1枚ずつ提出しなければならない。
「だけど、よかった。書き直しとか言われたらどうしようかと思ったぜ」
「半田の言うとおりだぜ。まあ、勉強するよりはずっとマシだけどよ」
「めんどくさいけど、楽しいもんな。授業じゃないしさ」
文化祭前日の今日はすべての授業が準備に当てられている。勉強らしい勉強をしなくてもいいばかりか、部活の仲間たちと一緒に作業をするというのは、やはり楽しいものだ。
「ところで円堂」
じっと壁画を見ていた豪炎寺が、腕を組んで首を傾げる。
「今お前が描いたそれは、いったい何なんだ?」
歪な白い円の中に、やはり歪な黒い固まりがいくつか。
「何ってボールだろ。サッカーボール」
当たり前のように円堂が答える。
「ええっ!? あれ、サッカーボールだったのっ?」
「ボールというより、形の悪いおにぎりにしか見えないっス」
「言えてるでやんス……」
ひそひそと囁き合う一年生たちに、話を聞き付けた風丸が不思議そうな表情を浮かべる。
「そうか? オレにはちゃんとサッカーボールに見えるけどな」
「……風丸さんって、顔はかっこいいのに美的感覚はキャプテンと一緒なんス
ね……」
「「こら壁山! それ、どういう意味だよ!」」
思わず呟いてしまった壁山に、円堂と風丸がステレオで食ってかかる。
「まあまあ、二人とも。ところで今のって、どっちを褒めてどっちをけなしてるの?」
「さぁ? どっちのことも、褒めてないとは思うけど」
一之瀬の疑問に、松野がさらりと本当のことを口走る。
「なんだよ、もうっ……」
「……円堂、この絵、少し手を入れてもいいか?」
ふくれてしまった円堂に苦笑しながら、鬼道が壁画を示した。
「え? もちろんいいぜ。どんどん描き足してくれよ」
ほら、と差し出された刷毛を受け取り、鬼道は壁画へと歩み寄る。
「これで、少しは……」
すっ、すっ、と何本か線を足す。それだけで、いびつなおにぎりは劇的な進化を遂げた。
「うわ! 見事にサッカーボールになったでやんス!」
「鬼道さん、すごいです! ……って、うわっ!?」
ぱちぱちと拍手までしていた一年生たち後ろから、影野がぬっと姿を現す。
「かっ、かか、影野先輩! 脅かさないで欲しいっス~」
「……オレも、ちょっとだけ描いていいかな……?」
「ああ」
頷いて鬼道が場所を代わる。影野は持っていたグレーのペンキで、それらしく見えるようになったボールに丁寧にに影を描きこんでいった。
「なるほど、陰影をつけてボールをより立体的に見せるとは……影野くんもなかなかやりますね!」
「すごいな、影野」
「そう…かな…? ふふ……ふふふ……」
目金ばかりか豪炎寺にまで褒められて、影野は実に嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「あ、ねえ円堂、この壁画だったら、クラブ展示最優秀賞、狙えるんじゃないの?」
「おおっ! 最優秀賞って取ったらなんか景品がもらえるんだったよな! 何だっけ?」
さらりと松野が提案する。目の色を変えて身を乗り出した半田に、風丸が笑いながら答える。
「たしか、運動部には米20キロって聞いたぜ」
「なるほど……実用的だな。円堂、ぜひ狙っていこう」
「わかったぜ、鬼道! よおし、みんな! オレたちのこの壁画で、最優秀賞をいただきだっ!」
気合と共に勢い良く壁画の中心を……まだペンキの乾いていないサッカーボールのど真ん中を叩いてしまった円堂に、ちょうど戻ってきた宍戸と土門を含めた全員の悲鳴が重なった。
END
* * * * *
3次元中学生の卒業制作の壁画を見て思いついた話。
だって「大切なもの」ってタイトルの壁画にサッカーボールが描いてあったんだもん…!
雷門イレブンはみんなかわいいけど、私が宍戸と目金と影野が好きなのがにじみ出てる!
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