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宮坂だけどアニメ28話です。
カプだと言いたい気もしつつ、
先輩に過剰に憧れてる宮坂と、良い先輩の風丸ってことで。
とりあえず風丸がとっても漢前で、宮坂がとってもとっても乙女です。
* * * * *
イナビカリ修練場……今はまるで秘密基地のようになっているそこへと向かっていた風丸は、河川敷に差し掛かった辺りで、聞き覚えのある声に名前を呼ばれた。
「風丸さ~んっ!」
「……あれは、宮坂?」
土手の上で足を止めると、陸上部の後輩である宮坂了が、金の髪を翻しながら駆け寄ってきた。
「風丸さんっ、よかったです、ここで会えて…!」
「俺を待ってたのか?」
問えば、宮坂はわずかに乱れた息を整えながら頷いた。
「はい。ボク、学校が壊されたこととか…いろいろ聞いたんです。それで、どうしても風丸さんに会いたくなって……」
いろいろ、に含まれるのはきっと雷門イレブンがエイリア学園に負けてしまったことだろう。
一方的だった試合を思い出して、風丸はぎゅっと奥歯を噛んだ。
しかし、目の前で心配そうにしている後輩に、取り乱した所を見せるわけにはいかない。
「……そうか。心配、かけたんだな」
「いえっ、そんなこと…っ! それより……その、風丸さんは怪我とかしてないですか?」
「ああ、大丈夫だ」
本当は痛めている左膝を隠して頷くと、宮坂がほっと胸を撫で下ろした。
「よかった……」
しかし、風丸の心は重く、暗い。
ちっとも良くなんかない。あの宇宙人たちのせいで雷門中は破壊され、傘見野中を守ることもできず、仲間たちはぼろぼろにされてしまった。
今ごろ病院で辛い思いをしているだろう半田たちを思って、風丸は再び奥歯をかみ締める。
……そんな風丸をじっと見つめていた宮坂が、ふいにその大きな瞳を潤ませた。
「風丸さん……ボク、本当は風丸さんに、一番に『優勝おめでとうございます』って言いたかったんです。それなのに、あんな……あんなことが起こるなんて……」
あんまりです、という呟きと一緒に一粒、また一粒と、涙がこぼれ落ちてゆく。
「おっ、おい、宮坂!?」
いつも勝気な後輩の突然の涙に、思い詰めていた風丸もさすがに慌ててしまう。
「ひ、っく……ごめ…なさ…っ……風丸さんが泣いてないのに、ボクが泣くなんて……っ、く……」
涙を隠そうと、宮坂は両手で顔を覆う。
「……でも、でも風丸さんが、風丸さんの走る大切な場所が……っ」
「宮坂、お前……」
学校が壊され、大切なフィールドを失ってしまったのは宮坂も同じはずだ。
それなのに、どこまでも自分を想ってくれている宮坂に、あの傘見野での試合からずっと張りつめていた風丸の気持ちが、ふっと緩んだ。
「まったくだ……本当になんでお前が泣くんだよ」
やわらかい口調でそう言いながら、頭をぽんぽんと撫でてやると、宮坂はわっと声を上げて風丸に泣きついてきた。
「風丸さぁんっ!」
「うわ! ……っと」
胸に飛び込んできたその体をなんとか受け止めて、風丸は自分のジャージの袖で宮坂の涙を拭ってやった。
「ほら。もう、いいかげん泣き止め」
「すっ、すいませ…っ……」
懸命に泣き止もうとしゃくりあげる背中を叩いてやりながら、風丸は決意の気持ちを改めて固める。
「……なあ、宮坂。俺はエイリア学園を……宇宙人を倒しに行ってくるよ。イレブンのみんなと一緒に」
「かっ、風丸さん! でもっ……」
はっと宮坂が顔を上げ、何かを言いかけた。
宮坂のことだ……きっと止めようとするのだろう。
納得してもらうための言葉を捜しながら風丸は僅かに身構える。
しかし、宮坂は言いかけた言葉を飲み込むと、しがみ付いていた風丸の胸をそっと押し返して、きちんと背筋を伸ばして立った。
「……いえ。風丸さんなら、きっとそう言うと思ってました。だからボク、ここであなたを待ってたんです」
すっかり赤くなってしまった目で、宮坂は真正面から風丸を見据える。
「風丸さん、ボク、これから何があっても、たとえどこでだって走るのは止めません。だから、風丸さんも頑張ってください」
「宮坂……ああ、もちろん」
あきらめない。何があっても前を向いて走り続ける。
宮坂の気持ちを受け取って、風丸は明るい表情で大きく頷いてみせた。
そんな風丸の笑顔に宮坂の顔も輝いて……そして、はっと何かを思いついた宮坂は、着ていた制服のポケットから小さな紙片を掴み出した。
「あっ! それからこれ。貰ってください」
渡された紙片には、丁寧な文字で宮坂のものらしい電話番号とメールアドレスが書かれていた。
「これは……」
「ボクじゃ風丸さんの力になれるかわからないですけど、何かあったらいつでも連絡してくださいね!」
「そうか、宮坂とはまだアドレス交換してなかったのか」
そういえば陸上部の一年生たちとの間にそんな機会が出来るより先に、風丸はサッカー部に入り浸りになってしまっていたのだった。
若干気まずい思いで髪をかきあげてから、風丸は先ほど宮坂に飛びつかれた時に傍らに放り投げていたスポーツバッグを拾った。
中を探って、自分の携帯をつかみ出す。
「だったら俺のアドレスも知らないよな。せっかく書いてもらったけど、ほら。この方が早い」
赤外線端子を示せば、宮坂も慌てて携帯を引っ張り出した。
「いっ、いいんですか!? 番号教えてもらっても……!」
「当たり前だろ」
笑って、風丸は宮坂の差し出した携帯に自分のアドレスを転送した。すぐに宮坂からもアドレスが送られてくる。
「これでいいな」
ぱたん、と画面を閉じた風丸は、今しがた宮坂から渡された紙片と一緒に携帯をバッグに戻す。
「あっ、ありがとうございますっ!」
「俺の方こそ。……お前の気持ち、心強いよ。ありがとう」
「……っ!」
風丸を見つめてなぜか息を呑んだ宮坂の肩を一つ叩いて、風丸はバッグを肩からかけ直した。
「それじゃ、行ってくる」
「……はいっ! いってらっしゃい、風丸さんっ!」
歩き始めた背中を、風丸へと繋がる携帯を胸に抱きしめた宮坂がいつまでも見送っていた。
* * * * *
風丸さんは強くて綺麗でちょっと影があってかっこいい先輩。
宮坂はきゃんきゃんしてて子犬っぽくてかわいい後輩。
そればかり考えてたら、こんな感じのお話が出来上がりましたー。
とりあえず宮坂はホントに風丸が好きすぎると思うよ!
(お礼SS・円風2種+α)
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イナズマサ一チ
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