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 風丸さんを愛する稲妻11ブログ。現在、凪いでいます。
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ゲームの発売前にCMの担架で運ばれる風丸さんを見て、
うぎゃー!ってなって、「風丸さん怪我離脱」展開をあれこれ想像したら
超展開ストーリーになった、という円堂×風丸小説。
(けっこう長くなったから、携帯からだと見づらいかも。)

超今さらなこのタイミングで載せるのは、この間のアニメが神展開だったから!

ということで、福岡戦直後ぐらいの時系列だけど、
ゲームやアニメの本編展開とはほとんど関係ありません。
ただの円風・公認バカップル話です。

 


 * * * * *


 東京に戻った風丸は、病院のベッドの上から、風に揺れるカーテンをじっと眺めていた。
 同じ病院に入院しているチームメイトたちが、風丸をそっとしておいてくれている理由がわかった気がする。
「……あいつらの悔しさ、わかってたつもりだったけど……全然だったな」
 ため息をついて、風丸は視線をカーテンからベッドの上へと戻した。
 疾風の速さを誇っていた脚は、今は白い包帯に包まれている。
 動かすことの出来ない己の脚に、風丸はまた一つため息を吐いた。
 そんな風丸の脳裏に、病院に搬送される前……風丸が雷門イレブンと一緒に走れなくなったあの時に、円堂と交わした会話が蘇る。

『風丸! 風丸っ!』
『すまん、円堂……』
『でも、風丸……っ!』
『そんな顔しないでくれ。オレの分まで戦って……そして必ずあいつらに勝ってくれよ、円堂』

 あの時、円堂に告げた言葉は間違いなく風丸の本心だ。しかし……。
「オレは……」
 ぎゅっと握り締めた拳が、動かない脚に触れる。俯いた風丸の肩から、解いたままの長い髪が流れ落ちる。
「オレ、は……っ」
 脚の痛み、力及ばなかったという悔しさと後悔、そして未だ走り続ける仲間たちへの羨望と嫉妬や、そんなことを考えてしまう自分への自己嫌悪……。
「……っ、く……」
 さまざまに混ざりあった感情に、こみ上げてきた涙がぽたりと拳の上に落ちた。
 ……と、枕元に投げ出していた風丸の携帯電話が鳴動した。びく、と肩を跳ねさせて、風丸は拳でぐいと涙を払う。
「円堂……?」
 呟いてから、そんなはずはない、と首を振る。
 風丸が入院してから毎日……いや、日に何度も心配の電話やメールを寄越してくれていた円堂を「オレなんかに何度も連絡してる場合じゃないだろう! エイリア学園との戦いに集中しろ!」と怒鳴りつけたのは今朝のことだ。
 それでも聞き分けようとしなかった円堂に業を煮やして、風丸は円堂からの着信が繋がらないように携帯を設定してしまっていた。だからこれは円堂ではない。あるはずがない。
 開いた携帯の画面はもちろん円堂からではなく、鬼道からのメールが届いていることを知らせていた。
「……鬼道? いったい何の……っ!?」
 開いたメールの内容に、風丸は息が止まりそうになる。
『円堂が、大変なことになった』
「なっ……!?」
 要領を得ないメールに風丸が動揺したその時、今度は携帯が電話の着信を伝えてきた。
 ディスプレイには「鬼道有人」の文字。慌てて風丸は通話ボタンを押して携帯に耳を押し当てる。
「鬼道か? 今のメールは一体……」
『風丸っ!』
 しかし携帯の向こうから聞こえてきた声は、鬼道のものではなかった。
「え、円堂!?」
『あっ! 切るなよ!?』
 釘を刺されて、その通りにしようとしていた風丸の手がぴたりと止まる。
 おそらくは移動中のキャラバンの中からかけているのだろう。通話の向こう側にざわざわと皆の気配が感じられる。
「お前、どうして……」
『今朝からオレの電話が繋がらないから、鬼道に頼んでケータイ借りた』
 円堂の言葉に、風丸の眉がぎゅっと寄せられる。
「あのなぁ! 今朝も言っただろ! どうしてわかんないんだよお前は!」
『わかんないよ!』
「わかれよ! 今はオレのことなんかより、先に進むほうが大切なはずだろ!」
『風丸だって大事だよ!』
「大事じゃない!」
 やはり聞き分けてくれない円堂にそう叫んで、風丸は携帯をきつく握りしめる。
 円堂の心配は、本当は嬉しい。けれど……。
「怪我して走れなくなった……力を手に入れられなかったオレなんて、もう役にたたないじゃないか!」
 思考が暗く沈んで、風丸はネガティブな言葉を止められなくなる。
『風丸、それは違う……』
「違わない! 大事だとか、そんなことを言ってもらえる資格なんてない! 役立たずのオレなんか、雷門イレブンには……お前の側には、居ない方がいいんだ!」
 円堂の言葉を遮り、その勢いのまま言い切ってから、風丸ははっと息を飲んだ。円堂に心配や迷惑をかけたくないと思っているはずなのに、自分は何を言っているのだろう。
 けれど、一度口から出てしまった言葉はもう取り消せない。
 円堂が苛立ったように大きく息を吸い込んだ気配がした。
『風丸』
 呼ぶ声が低い。さすがの円堂も怒っているのかもしれない。
「………んだよ」
 ごめんと謝る事もできず、風丸は曖昧な返事を返しながら、円堂の次の言葉に備えて身構えた。
 しかし、円堂が吸い込んだ息は、怒声でもため息でもない、別の言葉として吐き出された。

『結婚しよう、風丸』

「……は?」 
 言われた言葉の意味がまったく理解できず、風丸は堂目して、携帯を握り締めたまま凍りついた。
 先ほどまでざわついていた電話の向こう側も、水を打ったように静まり返っている。
 しばらくの沈黙の後『円堂、さすがにそれは……』という遠慮がちな鬼道の声が聞こえて、風丸ははっと我に返った。
「ばっ、馬鹿なんじゃないのか円堂っ!?」
『なんでだよ!』
 ムッとしたような声が返るが、風丸はそれどころではない。
「だって、馬鹿だろ! けっ、結婚なんて、なに考えてるんだよ!」
『だからっ! オレは結婚したいぐらい風丸のことが大事なんだよ! だいたい、お前が変なことばっかり言うからだろ! 大事だって言ってもちっとも信じてくれないし、電話も繋がらなくするし!』
「そっ、それは……」
 言葉に詰まった風丸の耳に、ふいに真剣になった円堂の声が響く。
『なあ風丸、オレは今キャラバンに居ないみんなとだって、いつでも一緒に戦ってるつもりなんだ。みんなが……風丸がいてくれるから、最高の力が出せるんだって思ってる』
「円堂……」
『それなのに、役に立たないとか居ない方がいいだなんて、悲しいこと言わないでくれよ。たとえ何があっても、オレは風丸と一緒にいたいんだ』
 だから結婚しよう、と円堂がもう一度告げる。
「結婚……円堂と……?」
 熱烈な円堂のプロポーズを、風丸が呆然と繰り返した、その時。
「えええっ!? キャプテンと風丸さんが結婚っ…でやんスか!?」
「マジで!? キャプテンすっげぇ!」
「……っ!?」
 すぐ側で上がった後輩たちの声に、風丸はぎょっとして振り返った。
「おっ! 円堂、ついに告ったのかよ!?」
「みたいだね。いーんじゃない? もともと相思相愛おおいかったし、ケッコンでもなんでもすればー?」
 そこには、半田とマックス、栗松と宍戸……さっきまで別の病室にいたはずのチームメイトたちが集まって、意味ありげな笑顔を風丸に向けていた。
「お、お前ら……いつから、そこに……?」
 思わず通話口を押さえて、呆然と仲間たちを見渡した風丸に、少林寺が笑顔で答えてくれる。
「風丸先輩が怒鳴ってる声が聞こえたから、心配で様子を見に来たんです。そしたら結婚って……おめでとうございます!」
「いや、ちょっと待て、オレは別に……」
『風丸? どうかしたのか?』
 唐突に止まった会話を気にして、電話の向こう側から、円堂が問いかけてくる。
「なっ、なんでもない!」
『そっか。……でさ、風丸……返事は?』
「返事っ!?」
 慌てながらもごまかした風丸だったが、事態の見えていない円堂は、容赦なくそんな追い打ちをかけてくる。
 結婚しよう、と言われたのだから、たしかに返事は必要だろう。……けれど。
「へ、返事は……今度お前と会ったとき、直接言う!」
 その答えに、期待を込めてじっと見守っていた仲間たちが、残念そうに息を吐いた。
『本当か? わかった、それまで待ってる』
「よし。それじゃあ、もう切るぞ」
『あっ、風丸、また電話したら……駄目かな?』
 ああもう!と呻いて、風丸は左目を隠す前髪をくしゃくしゃとかき回した。
「いいか円堂、電話は1日1回までだ! メールだったら許してやる! ……それでいいな?」
 わかった、と嬉しそうな円堂の返事に重なって、松野がえーっ? と声を上げる。
「1日たった1回しか声聞けなかったら、寂しいんじゃないのー、風丸?」
「うるさいぞ、マックスっ!」
『マックス……? あっ!』
 そのやりとりに、さすがの円堂も風丸の状況を悟ったらしい。
『そっ、それじゃあ切るよ。風丸、またメールするから!』
「ああ、またな……円堂」
 慌ただしく切れた通話に、風丸は一瞬だけ携帯を見つめる。
「あっ、先輩やっぱりちょっと寂しそ……」
「何か言ったか宍戸? それにお前らもなぁ…っ」
 枕元に携帯を放り出し、よけいな一言をこぼした宍戸を、そしてギャラリーを、風丸は剣呑な視線でぐるりと睨みつけた。
 慌てて口をつぐんだ宍戸はもちろん、栗松や半田たちもさっとベッドから遠ざかる。
「かっ、風丸さんが怒ってるでやんス!」
「に、逃げた方が、いいんじゃない…?」
「そーだね。影野と染岡に報告もしなくちゃだし、そろそろ行こっか」
「あっ、ちょっと待てマックスっ! お前らっ!」
 風丸の声を背中に、皆がばたばたと病室を飛び出して行く。最後に残った半田が振り返ってニヤリと笑った。
「それじゃあな、風丸! 円堂と末永~く幸せになっ!」
「半田っ!」
 笑い声と足音、そして宍戸の松葉杖の音が廊下を遠ざかって行くが、ベッドから動けない風丸には、それを追いかける術はない。……遠くでナースが「病院では騒がないって、いつも言ってるでしょう!」と怒っているのが聞こえてきた。
「まったく! あいつらっ、調子に乗りやがって…!」
 からかわれたせいで少し頬が熱い。その頬の熱さを誤魔化すように、風丸は胸元に落ちてきていた髪を背中へと払うと、先ほど投げ出した携帯を手探りで引き寄せた。
 ……着信拒否の設定を解除するために。

 一方、電話を切った円堂はそこでようやく、キャラバン中の視線がじっと自分に注がれていることに気がついた。
「円堂、お前……」
 鬼道がそっとため息をつく。
「あ、いや……えっと、これはさ……」
 焦った円堂の頬がじわりと赤くなる。風丸を好きなことも、結婚したいぐらい大切なことも、別に隠すようなことではないと思う円堂なのだが、周り中にそれが知れ渡ってしまっているのは、さすがにちょっと恥ずかしい。
 そんな円堂の肩を、座席から身を乗り出した塔子が叩いた。
「そっか、結婚かぁ……おめでとう、円堂」
「さすがは円堂さんですね! オレ、ドキドキしちゃいました!」
「ふふっ、風丸くんと素敵な家庭を築いてね、キャプテン」
 立向居と吹雪も、口々に祝福の言葉をかけてくれる。
 その一方で、夏未が盛大に憤っている。
「馬鹿だ馬鹿だとは思っていたけれけど、まさか人前で、あんな……! ここまで無神経だなんて、開いた口が塞がらないわ!」
「怒る所はそこなんだ……。ええっと、でも、円堂くんらしいよね。一生懸命で」
 苦笑した秋が、寒々しいながらも精一杯のフォローを入れる。
 壁山はそっと目金の袖を引いて尋ねている。
「あの、先輩……男同士って、結婚できるッスか?」
「できる、といえばできますが……日本では無理ですね」
「アメリカの、バーモントとかカリフォルニアにいけばできるよ。ね、土門」
「ああ、まあ、たしかそうだったはずだけど……なんでお前そんなことに詳しいんだ?」
 口を挟んだ一之瀬に、土門が首を傾げる。その横に割り込んだリカが、いつものように一之瀬の腕にまとわりついた。
「なぁ、ダーリンっ、まさか円堂と風丸に先越されるとは思わんかったわ! ウチらも早く結婚しよ~?」
「ははは……」
 苦笑いの一之瀬を横目に、頭の後ろで両手を組んだ木暮が、ニヤニヤと悪い笑顔を円堂に向けてきた。
「どーでもいいけど、次からは場所くらい考えて夫婦喧嘩してくれよな。んで、キャプテンはいつから風丸さんとつき合ってんの? もうチューした?」
「ちょっと、木暮くん! ……って、キャプテン、それは私も知りたいです!」
 からかう木暮を叱ろうとした春奈も、好奇心に負けて円堂を見上げてくる。
 もう一度、キャラバン中の視線が円堂に集まった。
「い、いや、その……あはははっ!」
 そんな視線を笑ってかわして、円堂は嘆かわしそうに額を押さえている鬼道に礼を言って、借りていた携帯を手渡した。


 * * * * *


どうなってるの円風!(むしろ私の脳内!)
でも円風=結婚ですよね? ほーら無問題! …そんな超展開でした。

ゲームの神展開は最高だし、アニメの今後の展開も楽しみだけど、
こんな風な、折れないけどすっげーネガティブな風丸さんと
超次元にすべてをぶっとばして円風に持ち込む円堂さんも
見たかったなぁ、って思ったわけなのです(結婚含む)


あ、怪我の都合や、時系列的に出られなかった方々から、
お祝い(?)の言葉が届いているのでちょっと載せときます。

染:結婚だぁ? あいつら馬鹿か! ん?……まあ、ダチとしては複雑な心境だな。
影:……いいんじゃないかな。……ちょっと、驚いたけど……。
豪:性別もだが、結婚するにはまだ年も足りないんじゃないか……?
綱:んな小せぇこと気にすんなって! あっ、式にはちゃーんと俺たちも呼んでくれよな!

むりやりオールキャラ…!
 

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