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円堂と風丸で、夏休みの宿題の話。
昨日の日記で呟いてたネタです。
久しぶりに恋愛要素を入れないで書いたけど、
どんなに友情でも結局二人は夫婦でした。
円風だもの。
* * * * *
8月が終わり、夏が終わる。もちろん夏休みも終わってしまう。そんな8月31日の午後。
今日の部活は宿題を残している一部の部員たちのために午前中だけで解散になっていた。
まっすぐ家に戻ってきた風丸は、降って湧いた自由な時間をどう使おうか考える。
テキスト、プリント、それに自由研究とレポート。たくさん出されていた宿題はもう何も残っていない。
勉強などより身体を動かしている方がずっと得意な風丸だが、最終日まで課題を残すような性格でもないのだ。
最近は練習でしか走っていなかったから、ランニングに出かけるというのも面白いかもしれない。
しかし、午前中に散々動いて汗になった体をシャワーで流したばかりで、またすぐに暑い中に走りに行くというのはどうにも気が進まない。
そうなると、他に有意義なことはちっとも浮かんでこなかった。
代わりに気になってきたのは、大好きなはずの練習が終わるなり、猛スピードで帰っていったチームのキャプテンのことだった。
「大丈夫かな、円堂は」
去年の今頃、やり残した大量の宿題に埋もれて青くなっていた円堂を思い出して、風丸は腕を組み、小さくため息をつく。
風丸だけが頼りなんだ、と拝む円堂に絆されて、去年は結局手を貸してしまったけれど。
「今年はもう手伝ってやらないからな…?」
そんなことを呟いたところで、玄関から来客を告げるチャイムの音が聞こえた。
応対した母親が声をあげ、風丸への来客を告げてくる。
まさかそんなことは……そう思っているうちに、風丸の部屋のドアが開く。
「風丸、ごめん! 宿題手伝って…!」
小脇にテキストやプリントやペンケースを抱えながら器用に両手を合わせた幼馴染の姿に、風丸の切れ長の瞳がさらに釣りあがった。
「円堂っ! お前、『もう二度と手伝わないから、宿題は早めに終わらせろ』って、あれだけ言ってたのに、どうしてこういうことになるんだよ!」
「ごめん!」
怒鳴られて、円堂はもう一度謝りながら首を竦める。
「頑張ったんだけど、今日中にどうしても終わりそうになくって……」
「頑張った、って……」
円堂の言葉に改めて見れば、抱えているテキストもプリントも、去年よりずいぶん少ない。
「……どこまで終わらせてあるんだ?」
「風丸!」
ため息混じりに聞いた風丸に、円堂がぱっと顔を輝かせた。
「まだ手伝うとは言ってないだろ」
釘を刺しながら、風丸は円堂が差し出した数学のテキストを受け取る。
ぱらぱらと捲ると白いページばかりが目に付いたが、それでもちらほらと答えが書き込まれているページも見える。
円堂にしては頑張った方だと言ってもいいだろう。
「他の教科は? うちのクラスは社会と理科も宿題出てたから、そっちのクラスも出てるだろ」
「出てるよ。けど、社会のテキストも理科のプリントも終わってる。……合ってるかわかんないけどさ。だから残ってるのはそれと、こっちの英語のプリントだけなんだ」
へぇ、と風丸は目を見張る。小言の数々はとりあえず円堂の心に届いていたらしい。
「……まったく、仕方がないな」
結局自分は円堂には甘い。そう思いながらも、風丸はテキストを円堂に返すと部屋の机を指し示した。
「ほら、円堂。……言っとくけど、丸写しは絶対させないからな」
「わかってる! ありがとう、風丸っ!」
「こらっ、抱きつくな! 時間ないんだろ!」
嬉しそうに飛びついて来た円堂を引き剥がして机に追いやると、円堂は慌ててテキストを開いた。
円堂が詰るたびに風丸が解き方を説明してやり、二人は一息に数学のテキストを終わらせる。
「よかった…これなら今日中に全部終わりそうだよ。本当にありがとう風丸」
「ここで気を抜くなよ。まだ英語が残ってるだろ」
とはいえ、外はまだ明るい。
夜になるまで付き合わされた去年の悪夢は繰り返さずに済みそうだと思ったところで、風丸ははっと円堂に視線を向けた。
「おい円堂……自由研究とレポートはどうなってるんだ?」
「えっ?」
唐突な質問に驚いた円堂に、風丸は顔色を変える。
「まさか終わってないのか? 今年はクラスが違うんだから、去年みたいに合同研究にしてやるわけにはいかないんだからな」
「わかってるって。大丈夫、今年はちゃんと終わってるよ」
焦る風丸にそう答えた円堂は、笑顔で胸を張ってみせた。
「自由研究とレポート、一番最初に終わらせたんだぜ」
「そうなのか? いったい何を調べたんだ?」
意外な答えに興味を引かれる。風丸でさえ、自由研究は面倒で一番後回しにしてしまったのに。
「サッカーだよ。ボールにどんな力が加わるとどうなるかって」
「なるほど……」
たしかにサッカーについての研究ならば、円堂はあっと言う間に終わらせるだろう。
「だって、面白いんだぜ! カーブとか、バックスピンとかさぁ……」
「わかったわかった」
そのまま研究内容を語り始めそうになった円堂を制して、風丸はその目の前に、容赦なく英語のプリントを突きつける。
「その話はこれが全部終わってからゆっくり聞いてやるよ」
だから頑張れ、と笑った風丸に頷いて、円堂はぴしりと姿勢を正し、最後の追い上げへと取り掛かった。
* * * * *
「駄目な旦那をすっげー怒るけど、結局面倒見のいい風丸さん = 嫁。」
はい、この公式は夏休み明けのテストに出ますから。
ちゃんと覚えといてくださいね!
キャプテンの自由研究は、きっと鬼道さんあたりの入れ知恵に違いない。
風丸さんの自由研究は考え付けなかったんですが、何がそれらしいかなぁ…。
勢いで書いちゃったので、後でどっか直すかも。そして誤字とか見つけたら教えてください…!
(お礼SS・円風2種+α)
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