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 風丸さんを愛する稲妻11ブログ。現在、凪いでいます。
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アニメからだいたい5年ぐらい未来というパラレル設定のお正月話。
(オフで出した「夢のその先で」と同じ時間軸になります。)
もう七草も終わってしまいましたが、年始の挨拶とか駅伝の話とかしております。

出てるのは円堂、風丸、豪炎寺、立向居、綱海、それと名前だけの人が何人か。
円風で立綱なつもりで書いたけど、それぞれ他キャラとの接点の方が多いぐらいかも。

おおむねサッカー選手になってますが、
「お前それ、どうしてそうなった!?」的な進路の人がいたりもします。

「パラレルOK!なんでもOK!だって超次元だもの!」……と思える方のみどうぞ!

 




 * * * * *


 豪炎寺は稲妻総合病院の正面玄関前で、自動ドアの両脇にささやかに飾られている門松を眺めていた。
 そろそろ着く、とメールを入れてきた相手はまだ現れない。
 冷たくなり始めた両手をポケットに入れたその時、半分閉められている門の陰から、二つの人影が現れた。
「豪炎寺! 迎えに来てくれたのか! ええっと、あけましておめでとう」
「おめでとう。……円堂、着いたんだからそれは取ったらどうだ?」
「あ、うん」
 隣に並ぶ風丸に促され、円堂は深く被っていたニットの帽子とサングラスを外して、もはや知らない人はほとんどいないだろうというほど有名になった素顔を晒す。
 帽子に押さえられていた髪が、頭の両脇でぴょこんと耳のように立ち上がった。
「あけましておめでとう、円堂。風丸も」
「ああ。今年もよろしくな、豪炎寺」
 お決まりの年始の挨拶を交わしながら、豪炎寺は円堂に申し訳なさそうに頭を下げた。
「悪かったな。せっかくのオフなのに」
「いいって。オフだからこっちに戻ってたんだし。なにより、豪炎寺先生の頼みじゃ断れないよ」
「先生はやめてくれ。オレはまだ医者見習いですらない、ただのバイトなんだ」
 憮然とした表情の豪炎寺に、円堂と風丸が笑う。
「だけど、入院中の子供たちを円堂に……プロのサッカー選手に会わせてやろうって企画したのは豪炎寺なんだろ?」
「ああ、まあな」
 風丸の言葉に、豪炎寺は頷きを返す。
「風丸も一緒に見て行くのか?」
「いや。オレはお前に挨拶するんで寄っただけ。……これから大手町に行くんだ」
「大手町……ああ、駅伝か」
「ははっ、よくわかったな。うちの大学、往路でいいところまで行ったから。今日も応援しに行こうと思ってさ」
「お前の大学は昨日、宮坂が区間新記録を出したんだったな」
 すごかったな、と続けると風丸がまるで自分のことのように、嬉しそうな表情を浮かべた。
「見ててくれたのか?」
「ああ。たまたまテレビを付けたら知った顔が走ってて、驚いたから。そのままな」
「そっか」
「……なあ風丸、昨日から疑問だったんだけど、聞いてもいい?」
 風丸たちの会話に、横で聞いていた円堂がそっと口を挟んだ。
「何だよ、円堂」
「あの宮坂って、中学の頃は風丸と同じ短距離じゃなかったっけ?」
「ああ、高校で転向したんだよ。『ボクは粘り強いから、長距離の方が向いてるみたいです』ってさ」
「粘り強い、か」
「たしかにそうかも……」
 部活が別になった後もずっと風丸を慕い続けていた金の髪の後輩を思い浮かべ、円堂と豪炎寺は顔を見合わせて苦笑した。
 憧れの先輩を、高校どころか大学まで追いかけていった宮坂のその根性は、たしかに相当なねばり強さと呼べるかもしれない。
「そうか? まあ、体力はずいぶん付いてきたと思うけどな。なんたって箱根を走れる……」
 楽しそうな風丸が、少しだけズレた言葉を続けようとしたその時。
「おっ、もう来てるぜ! おーい!」
 明るい呼び声と共に新たな人影が二つ、門を抜けて姿を現した。
「円堂さーんっ! 豪炎寺さん、風丸さんっ! お久しぶりです!」
「よう! あけましておめでとう、だぜ、お前ら!」
「立向居! それに、綱海!?」
 ぱっ、と顔を輝かせた円堂が二人に駆け寄る。
「円堂さんっ! 今日は声をかけてくれてありがとうございますっ!」
 同じく円堂に駆け寄った立向居が、がしっと円堂の両手を握りしめた。その頬が紅潮しているのは、寒さのせいだけではないのだろう。
「オレ、子供たちのために精一杯頑張ります! あっ、それからあけましておめでとうございます!」
「ああ、あけましておめでとう。今年も、それに今日もよろしくな!」
「はいっ! よろしくおねがいしますっ!」
「はははっ、相変わらずだなぁ立向居の円堂フリークは」
 そんな二人を笑って眺めている綱海に、豪炎寺と風丸が声をかけた。
「あけましておめでとう、綱海」」
「おう、今年もよろしくな、風丸。豪炎寺も」
「ああ、今年もよろしく」
 頷いて、豪炎寺がしげしげと綱海を見る。
「……円堂が現役Jリーガーに声をかけたと言っていたから、立向居が来てくれるんだろうと思っていたんだが……まさか綱海までとは思わなかった。ありがとう」
「よせよ、水くさい。同じ雷門イレブンの仲間だろ」
 からからと綱海が笑う。
「それにオレは、今日は立向居のオマケみたいなもんだ。オレは別に円堂から直で話を聞いたわけじゃなくて……」
「ああっ! いけない! ……綱海さーん!」
 言いかけた綱海の言葉を遮るように、円堂と話していた立向居が突然声を上げて綱海を振り返った。
「なんだ? どうしたよ、立向居?」
「あの、もしかしたらオレ、玄関の鍵閉め忘れたかもしれないです」
「玄関の鍵……?」
 立向居と綱海の会話が見えない円堂たちが首を傾げる。そんな3人を余所に、綱海は立向居に向けて片目を瞑り、ぐっと親指を立ててみせた。
「なんだ、そんなことか。大丈夫、オレの鍵でちゃ~んと閉めたぜ」
「本当ですか?よかった……」
「……もしかして、立向居と綱海も一緒に暮らしているのか?」
 二人を見比べながら尋ねた豪炎寺に、立向居が曖昧に頷いた。
「ああ、ええ。まあ……」
「一緒に暮らしてるぜー。去年の暮れから世話になってんだ」
 言いながら綱海が立向居の肩に親しげに腕を回した。
「そうなのか。……だけど、立向居たちが同居するほど気が合うとは意外だな」
「ああ、それはほらアレだ。なんか、ノリ?」
「ノリって、綱海……まさかお前、立向居の家に押し掛けたんじゃないだろうな?」
 へらりと笑った綱海に、風丸が目をつり上げる。
「ええっ? そうなのか、立向居?」
「はい。そんな感じです」
 円堂の問いかけに、立向居があっさりと頷く。
「おいおい、それで上手くやれてるのか? 綱海が先輩だからって、迷惑なのに遠慮してるんじゃないだろうな?」
 んなことねーって!と文句を言う綱海を半ば押し退けて、風丸が心配そうに立向居の顔をのぞき込む。
 しかし、立向居はそんな風丸に向けて、笑顔で首を振って見せた。
「ありがとうございます。でも、大丈夫です。綱海さん、ちゃんとゴミ捨てしてくれますし」
「だろぉ? 心配しなくたって、オレたちちゃんと上手くやれてるよ」
 ぐっと綱海が胸を張る。
「いや、問題はゴミ捨てだけじゃ……いや、まあ、立向居がそれでいいなら、いいか」
「そうだよ。うちだって、オレがほとんど帰らないけど、ちゃーんと上手くいってるじゃん?」
「ああ、そうだよな」
 ニッと笑った円堂に、目元を和ませた風丸が頷く。
 そんな和やかな空気の中、豪炎寺が手首の時計にちらりと視線を走らせた。
「それより風丸、時間は大丈夫なのか?」
「あ! いけね! オレ、そろそろ行かなくちゃ」
 どこへ行くんですか? と首を傾げた立向居たちに、円堂が事情を説明する。
「駅伝ですか……」
「オレたちにはちょっとばっか馴染みが薄いな。でも、応援頑張って来いよ!」
「頑張るのはオレより走者だけどな。……あっ」
 笑って頷いた風丸が皆を見渡す。
「なあ、新年会にはみんな来るんだろ?」
「もちろん行くぜ! オレも、立向居も」
「オレも行くつもりだ。……そういえば、さっき吹雪からメールがあったぞ。染岡と二人でこっちに向かってるそうだ」
「本当か豪炎寺! それじゃあ今年は雷門イレブン全員集合して新年会ができるんだな!」
 円堂の顔がぱっと輝く。立向居も嬉しそうに両手を組んだ。
「雪が多くて飛行機が飛ばないかもって聞いたから心配してましたけど、お二人とも来れるんですね! オレ、送っていただいたじゃがいものお礼、直接言いたかったんですよ!」
「ああ、おいしいよな、染岡たちのところのじゃがいもは」
「っと、悪い、オレもう行くよ。じゃあまた、新年会でな」
 話を遮るようにひらりと手を振り、身を翻した風丸が、急ぎ足で門を抜けて行く。
「オレたちも行こう」
 その背中を見送ってから、豪炎寺が促す。
「ああ、子供たちが待ってるもんな」
「オレこういうの初めてなんですよ。なんだか緊張してきました……」
「なんだなんだ立向居、楽しくやれば大丈夫だろ」
 口々にそんなことを話しながら、若きサッカープレイヤーたちと未来の名医は、人気の少ない正月の病院へと入っていった。


 * * * * *


あー、お正月に良く見るねー、って感じの日常会話を心がけたら、
読むのに多大な想像力が必要な話になってしまいましたー…。

実はこのパラレル、おおまかなとこは菌さんと一緒に考えた設定だったりするんですよ。
風丸さんは体育大学でスポーツトレーナーを目指して勉強中の学生。その後輩に宮坂。
円堂さんは世界で、立向居と綱海は日本で活躍中のプロサッカー選手で、
豪炎寺はさまざまな葛藤の末に医者(小児科医)の道を目指すことになって、
染吹もいろいろばたばたした挙句に、北海道で一緒に農場やっていたり。
農場の敷地の一角には、最新のナイター設備まで整ったサッカー場があるんだぜ…!

誰得?私と菌さん得!…みたいなそんな設定も、いつか書いてみたいです。

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