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 風丸さんを愛する稲妻11ブログ。現在、凪いでいます。
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久々の円風更新…!
名古屋の日記でちょこっと書いた、
夜行バスで妄想した、深夜のイナズマキャラバンでの円風。
アニメ34話と35話、北海道から京都に移動してる間の話になります。

まだ付き合ってないけど完全に円堂×風丸です。
あと、シリアスっぽく見えるけどオチはギャグです。

 


 * * * * *


 がたん、と大きく揺れた車体に、座席で眠っていた風丸はふっと目を覚ました。
 イナズマキャラバンの車内は照明が落とされ、ごうごうと唸るようなエンジン音と走行音、そして壁山のイビキが響いている。
(ああ、そうか……オレたち、京都に向かってるんだよな……)
 眠気でぼんやりした頭を振って、風丸はキャラバンが今、深夜の高速道路を走っていることを思い出した。

 戦わない強豪の噂を聞きつけて漫遊寺中を目指すことにした雷門イレブンだったが、キャラバンを使って移動するには、北海道から京都までは少し距離がありすぎた。
 そこで奈良から東京に向かった時と同じように、子供たちが休む夜の間を移動時間に当てることになったのだ。

「う、ん……っ」
 隣の座席で寝ている円堂を起こさないように気をつけながら、風丸は座っていたせいで固まってしまった体を伸ばす。
「今、何時だ…?」
 掛けている毛布を避け、ジャージのポケットから携帯を取り出すと、時刻は深夜3時を回ったところだった。
 朝はまだ遠い。もう一度眠らなければ。そう思ってシートに身を沈め直し、毛布を引き上げた風丸だったが。
「………………」
 目を閉じる代わりに、風丸は暗闇の中を次々と流れてゆく照明灯の、オレンジ色の光を見つめた。
 低く響き続けている走行音と振動、そして光の波は、風丸の心の奥から底知れぬ不安を呼び起こす。

 スノーボードの特訓で速さを…そして強さを身に付けてジェミニストームを退けたのに、今度はイプシロンと名乗る、さらに強い宇宙人たちが現れた。
 また特訓をして、強くなって、イプシロンを退ける。……果たして、戦いはそこで終わるのだろうか。

 そんな風丸の不安を煽るようなタイミングで、キャラバンがまた大きく揺れた。
「……っ!」
 息を詰めた風丸の横で、ぐっすりと眠っている円堂の体がぐらりと傾き、風丸の方へと倒れこんできた。
「え……!?」
 静まり返った車内で大きな声は出せない。無言で慌てた風丸の肩に寄りかかって、円堂は寝息を立て続けている。
 座ってシートベルトをしていても、円堂の寝相が悪い事に変わりはないらしい。
 ため息を付きながら、傾いた頭と、風丸の膝へ投げ出された腕を真っ直ぐにしてやろうとして、風丸はふと動きを止めた。
 円堂が触れている場所が温かい。
 その温かさは風丸に、ひどく弱く、不安定になっている己の心を自覚させた。
 前を向いて、もっと頑張る。特訓をして強くなる。そう決めたはずなのに、すぐに心が揺らいでしまう。いつまでも不安が消えてくれない。
「駄目だ、こんなんじゃ……っ」
 暗闇に押しつぶされそうになって、風丸は思わず手を伸ばした。
「円堂……」
 寝ているから。きっと気がつかれないから。心で言い訳をしながら、風丸はそっと温かな円堂の手を握る。
「なあ円堂、オレはどこまで行ける? オレたち、どこまで走ればいいんだ……?」
 そんな弱音を呟いたとき、風丸の肩に乗っていた重みがふいに軽くなった。
「どした……?」
 眠そうな円堂の声が聞こえて、がっしりとした掌がぎゅっと風丸の手を握り返してくる。
「円堂……」
 半分眠っているような円堂はそれでも懸命に目を開けて、心配そうに風丸の様子をうかがっている。
 そんな円堂に何も言えず、風丸はさっきまでとは逆に、円堂に寄りかかるようにしてその肩にすがりついた。
「かぜ…まる……?」
「………………」
 こんな風に弱っている所など、普段の風丸ならば絶対に円堂に見せないだろう。
 けれどオレンジのライトが流れる暗闇の不思議さが、風丸の弱い心を暴いて膨らませ、円堂の温かさに縋り付かずにはいられなくしていた。
「え? あれ……? これって、もしかして……夢?」
 普段とはあきらかに様子の違う風丸に、円堂が寝ぼけながら首を傾げた。
 これを夢だと思ってくれるのならば、その方が風丸も都合がいい。
「ああ。そうだよ、夢だよ」
「そっか……それだったら……」
 風丸の言葉に素直に納得した円堂が、繋いでいた手をそっと離した。
 そのまま腕を伸ばして、円堂は縋りついている風丸をぎゅっと抱きしめてしまった。
「ちょ、え、円堂……!?」
「風丸……」
 円堂の鼓動が、温もりが、そして囁きが近い。焦って顔を上げた風丸と、夢見心地な円堂の視線がぶつかった。
「俺、風丸には笑ってて欲しいんだ。だって俺……風丸のこと、大好きだからさ」
「……っ!?」
 抱きしめられているせいで身動きの取れない風丸に、円堂の顔がぐっと近づいてくる。
「円……っ!」
「……へへっ!」
 ちゅ、と音を立てて触れ合った唇に、円堂がふわふわと嬉しそうに笑った。
「う…ん……好きだぜ、風丸……むにゃ……」
 あまりにも予想外すぎる円堂の行動に凍りついている風丸をよそに、寝ぼけた円堂は再び寝息を立て始めてしまった。
「う、うそだろ……? 円堂が、オレを……好き?」
 呆然としながらも、風丸はとりあえず、緩んだ円堂の腕の中から抜け出した。
「いや、それより今のって、キス…だよな…。え? あれ……? これ、もしかして夢、なのか……?」
 いくらなんでも、そんなに風丸に都合のいい話があるわけがない。
 だって、円堂を好きなのは、風丸の方なのだから。
「ああ、そうだな。夢だな。うん、夢だ夢だ。間違いなく夢だ。…………寝よう」
 盛大に混乱しながら、風丸は毛布を被って目を閉じる。……次に目を開けた時には、きっと京都に到着しているはずだ。
 いつのまにか不安がどこかに吹き飛んでしまったことには気が付かないまま、風丸は今度こそ、眠りの淵へと沈んでいった。 


 * * * * *


妄想のネタをありがとう夜行バス!って、
私が乗ってたバスには、こんな可愛いカップルは乗ってなかったですけどね!

アニメやゲームのシリアス展開を踏まえたうえで
キャプテンと風丸さんを仲良くさせようとするとこんなんなります。
ていうか、私の脳内の円風はいつでもこんなノリかもしれない(笑)

風丸さんとキャプテンの絆は、台風がやってきたって
壊せない繋がリーヨですよねっ!

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