SS「キミの御技（みわざ）」

77話より。時系列的には76話かも。

「風神の舞」を円風的に解釈してみたらこうなったー！

 

　＊　＊　＊　＊　＊


　新しい必殺技の特訓のため、風丸は一人、鉄塔広場に篭っていた。
　この場所は円堂がずっと特訓を重ね、数々の必殺技を身につけてきた、円堂の特別な場所だ。
　だから、ここで特訓をすることは、風丸が必殺技を生み出すための大きな助けになってくれるかもしれない。
　そう考えながら、風丸は重石を入れたビニール袋を睨みつけ、もう一度走り出そうとした。
「おーい、風丸っ！」
　その瞬間に名を呼ばれ、風丸は足を止めてそちらを振り返る。
「やってるな？」
「ああ、円堂か。……吹雪たちは？」
　円堂は土方と吹雪の特訓に付き合っていたはずだ。そちらは良いのかと訊ねると、円堂は笑って頷く。
「うん。あっちは今は休憩中なんだ。だから風丸の顔、見に来ちゃった。……必殺技はどう？」
「ああ、もう一息でできそうなんだ。見ててくれ」
　頷いた円堂が数歩距離を取ったのを確認してから、風丸はぐっと身を低くして走り始める。
「……はぁっ！」
　たちまち巻き起こった風が、円堂に吹きつけ、その服や髪をはためかせる。
　けれど渦を巻いて吹き荒れていた風は、風丸が足を止めると同時に勢いを失い、立ち消えてしまった。
　やはりまだ上手くはいかない。風丸は小さなため息をつく。
「まだこんな感じなんだ。もう少し風の勢いを上げたいんだけど……って、円堂？」
「っ、すっげぇ技…！　綱海を抜いた時の風もすごかったけど、ずいぶん磨きがかかったな。さすがは風丸！」
「おいおい、まだ未完成なんだぞ？」
　手放しで褒める円堂に苦笑する風丸だが、円堂はそんなことは気にせず、目を輝かせながら言葉を続けた。
「なあ風丸……この技さ、完成したら『風神の舞』って名前にするの、どうかな？」
「えっ？」
「あっ、勝手にごめん。でもそんな感じがしたんだ。風丸が風を操って舞ってるみたいで」
「それで風神か？　ちょっと格好良すぎだろ」
　笑っていなした風丸に、円堂がさらに身を乗り出してくる。
「そうかな？　でも、風丸にぴったりだと思うけど」
「風神の舞……風神、か……」
　風丸は少し考える。円堂が自分を風の神に見立ててくれたのは、胸が高鳴るほど嬉しかった。
「そういえば、風神と雷神って良く一緒にいるよな」
「えっ？　雷神？」
「お前の……いや、なんでもない」
　言いかけて恥ずかしくなる。円堂と違って、風丸には目の前の相手を臆面もなく雷神に見立てることはできそうになかった。
「なんだよ、言いかけてやめるなよな」
「だから、なんでもないって。そんなことより使わせてもらうからな、風神の舞」
　首を振って、風丸は円堂に笑いかける。
「技の完成を楽しみにしててくれ」
「ああ、すっげぇ楽しみにしてる！　頑張れよな、風丸！」
　頷いた円堂がばん、と風丸の背中を叩いた。


　＊　＊　＊　＊　＊


風丸さんがリベロユニを取りに行きましたー！って妄想は潰えたけれど、
代わってこんな妄想で、今日の私の頭は一杯でした。

だって、風神の舞を出した時の円堂さんって、
驚くとかじゃなくて「やった！」「さすが風丸！」って得意げで、
こりゃ事前に１回くらいは未完成の技を見てそうだなー、って。
だったらネーミングも旦那でいいんじゃね？　って思ったんですよー。

目金さん、旦那が役目とっちゃってごめんね…！

あと、スパークボーイで手から稲妻が出せる円堂さんは雷神ですよね…！？
風神雷神、もしかしてオフィシャルもちょっと意識してるのかしら？（ペア的な意味でね！）