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久しぶりに本編沿いSS。1週遅れですが102話で、もう付き合ってる円風の話。
ぶっちゃけヤキモチネタなんですが、それらしい重みや葛藤は含まれていません!
天然タラシでサッカー馬鹿な円堂さんと、そんな円堂さんを大好きな風丸さんが、
冬花さんの一大事をダシにいちゃいちゃしているだけの、糖度高めのお話になります。
* * * * *
「おかえり。遅かったな、円堂」
誰もいないはずの自分の部屋に戻ってきた円堂は、ベッドに座り、いつものように腕を組んで待ち受けていた恋人の姿にぱちぱちと瞬いた。
「あれっ、風丸……? あっ、ただいま」
「久遠はどうだ? 大丈夫なのか?」
問われて、円堂は冬花の様子を思い出す。
海辺で突然倒れた冬花に付き添って一緒に病院まで行って、それから……。
「ちゃんと目も覚ましたし、記憶だって……いや、とにかく、フユッペはもう大丈夫だよ。心配してくれてありがとうな、風丸」
「いや。……そうか……」
力強く頷いてみせると、風丸はその口元に曲げた人差し指を当てながら、何事かを考え込んでしまった。
「風丸?」
そういえば、風丸はどうして円堂の部屋にいたのだろう。理由を尋ねてみようかと思ったところで、考え込んでいた風丸が顔を上げ、視線をぴたりと円堂に合わせてきた。
「なあ円堂、今夜ここで……お前の部屋で、一緒に寝てもかまわないか?」
「……えっ?」
予想外の申し出に、円堂はまた瞬きを繰り返してしまう。
「オレは嬉しいけど、いいの? 今はFFIの真っ最中だし、恋人らしいことは当分ダメって言ったの風丸だったような……」
「……けじめは必要だけど、オレたちは恋人なんだから。まあ、たまにはな」
「う~ん……」
答えた風丸の視線が、わずかに泳いでいるような気がする。いや、きっとそれは気のせいではない。
円堂が頼み込んで折れてくれたのならともかく、風丸からこんなことを言い出すなんて、何か理由があるとしか思えない。
「……あっ! まさか!」
らしくない風丸に、今もまだ少しだけ苦い思い出が呼び起こされる。
はっと顔を上げた円堂は、座ったままの風丸に猛然と詰め寄った。
「風丸っ! もしかして、また何か悩んでることがある? だったら話してくれ。 オレ、なんだって聞くから!」
「えっ? いっ、いや、違う! そうじゃないんだ!」
真剣な顔の円堂に慌てて首を振って、風丸は逃げるように腰を浮かせた。
「悪い、円堂。何でもないんだ。……忘れてくれ!」
立ち上がり、円堂の横をすり抜けて部屋のドアへと向かおうとした風丸だったが、円堂がその手を捕まえる方がほんの一瞬だけ早かった。
「風丸」
ぎゅっと風丸の手を握りしめながら、ゆっくりと区切るように名前が呼ばれる。
円堂の声には、心配と、もう二度とこの手を離すものかという決意が込められていた。
こうなってしまった円堂を誤魔化すことは、風丸にはできない。
……そもそも、らしくない態度を取ってしまったのも、ここまで心配されるような原因を作ったのも風丸なのだし、本当のことを話すしかないだろう。
「わかったよ」
ため息をついて、風丸は繋がれた手に引き戻されるまま、円堂のベッドに座りなおした。
円堂も並んでベッドに腰を下ろすと、風丸の顔をのぞき込む。
「で? いったいどうしたんだよ、風丸」
「それは……お前が……から…………ただけだよ」
「へっ? なに?」
気まずそうな顔でぼそぼそと答えた風丸の声が聞き取れなくて問い返すと、ぐっ、と息を飲んだ風丸は、大きく息を吸い込んで円堂を睨んだ。
「だからっ! 妬いただけだって言ったんだよ! お前が、あんまり久遠のこと心配してたからっ!」
「……妬いた……って、ヤキモチ!? 風丸が!?」
目を丸くしながら呆然と繰り返した円堂に、風丸の頬がかあっと染まる。
「くっ、くだらないことで心配させて悪かったなっ! ……ほら、もういいだろ。オレは自分の部屋に……うわっ!」
恥ずかしさから、風丸は円堂の手を振り解こうとする。けれど円堂が、そんな風丸を離すはずなどない。
逆に横から勢い良く抱きつかれ、風丸は円堂ともつれ合うようにベッドへに倒れ込むことになった。
「こら、円堂……って、なんだよその嬉しそうな顔は」
「へへへっ。だって、風丸がヤキモチ妬いてくれてるなんて、ぜんぜん思ってなかったからさ! なんか嬉しくて」
満面の笑みですり寄ってくる円堂の体温に、風丸の表情がほんの少しだけ柔らぐ。
「別に、オレだってヤキモチぐらい妬くよ。……我慢できなくなったのは、これが初めてだけどな」
押し退けることなく好きにさせておきながら、風丸はもう一度小さなため息をついた。
「……念のため言っておくけどな、円堂。オレが勝手に拗ねただけだなんだから、お前が変に気にする必要はないからな。久遠だって、マネージャーとして頑張ってるのはわかってるし……」
ついつい重ねた言い訳に、笑顔の円堂が大きく頷きを返す。
「ああ! フユッペはいいマネージャーで、オレたちの大事な仲間だもんな!」
「っ! ……っとに、お前は……っ」
一瞬だけ視線を険しくして、しかし風丸は情けない顔でがくりと脱力した。
この流れの中でそんなことを言ってくる円堂は、サッカーで繋がった仲間たちを、サッカーと同じぐらい大切にしているだけなのだ。
そしてサッカーのことを考えている円堂は、たとえ恋人であっても、風丸を優先したりはしない。……そんなことは、恋人になるずっと前から、誰よりも良く知っている風丸なのだけれど。
「ああもう! 本当になんでオレは、それでもお前のことが好きで仕方ないんだろうな!」
「えっ!? ど、どういう意味? オレだって風丸のこと、大好きで仕方ないって思ってるけど……」
「ああ。知ってるよ、そんなことっ!」
自分のどこに問題があるのか少しもわかっていない鈍感な恋人に、叫ぶようにそう告げて。
首に回した腕にぐっと体重をかけて円堂を抱き寄せた風丸は、ぶつけるような勢いでその唇を合わせた。
* * * * *
アニメ感想にも書いたけど、円風者としては、
円堂さんがあんだけフユッペフユッペじゃ、いくら風丸さんだって妬くだろ! と思いつつ、
同じく円風で、しかも3期だからこそ、風丸さんが変にどろどろした感情を抱えてたり、
鬱っぽくなったりはしないで欲しいなぁ……と思うわけです。
そんなことを考えてたらこんなさわやかイチャっぷるが書きあがりましたー。
やっぱり無敵の幼なじみカップルな円風が幸せになってるのが、私は一番好きですv
(お礼SS・円風2種+α)
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イナズマサ一チ
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