SS「似ているのは」

アニメ感想にもさんざん書きましたが、
立向居ってホント陸上部の誰かさんに似てるよね！……という、
風丸さんと目金と土門のお話です。

先輩後輩が若干親密？ですが、
カプ要素はなにも無いつもりで書いてますよ！

　＊　＊　＊　＊　＊


「しかし、本当に似ていますね」
「何が？」
　汗を拭っていたタオルから顔を上げ、風丸はベンチから声をかけてきた目金を振り返った。
「彼ですよ。ゴールキーパーの」
　答えた目金の視線を辿ると、その先には円堂と、陽花戸中１年の立向居が何か話しているのが見えた。
「立向居？」
「ええ。そっくりじゃないですか」
「あ、それ俺も思った」
　側にいた土門が、笑いながら会話に加わって来る。
「あれだろ？　時々練習見に来てた、風丸の陸上部の後輩」
「後輩って……宮坂のことか？」
「やはり、土門くんもそう思いましたか」
「そりゃな」
　驚く風丸を余所に、片手でメガネを持ち上げた目金と土門が頷き合う。
「立向居と宮坂って、そんなに似てるか……？」
　首を傾げながら、風丸は立向居をしげしげと眺める。
　両手を胸の前でぎゅっと組み合わせ、緊張と興奮で頬を染めている立向居は、少なくとも外見で宮坂に似たところは見あたらない。
　……何を話しているのかは聞こえないが、円堂が何か言うたびに、立向居がものすごい勢いで頷いている。
「そういえばあいつ、円堂に憧れてキーパーに転向したって言ってたっけ……」
　ポジションを変え、円堂に近づきたい一心でゴッドハンドまで身につけてしまった立向居の円堂への憧れは、きっと相当なものなのだろう。
『風丸さんっ！　ボク、風丸さんに憧れて陸上部に入ったんです！』
　ふと脳裏に、後輩の声が蘇る。
『少しでも風丸さんの、風のような走りに近づきたくって…！』
「……ああ、たしかに……似てるのかもしれないな」
　ずっと自分を追いかけてくれていた後輩の姿がようやく立向居と重なって、風丸はひとつ頷いた。
「それにしても……」
　熱烈な立向居の視線をものともせず、いつも通りに話して笑っている円堂に、風丸は少しだけ眉を寄せる。
「なあ、土門、目金……俺と宮坂も、端から見てるとあんな感じだったりするのか？」
「おいおい風丸、今更なに言って…って、自分じゃあんまり気がつかないもんかな。なあ目金」
「そうですね。あれだけ慕われているにも関わらず、いっそ冷たく見えるほど反応が薄い……そんな所も含めて、そっくりだと思いますよ」
「はは……そうかよ……」
　容赦なく言い切られてしまい、反論を思いつけなかった風丸はがくりと肩を落とした。
　話を切り上げ練習に戻った後も、立向居はずっと円堂を目で追い続けている。
　その視線にまったく気がつく様子のない円堂を横目に、そっくりだと言われてしまった風丸は所在無く前髪を直してみる。
「後で宮坂にメールしとくか……」
「ははっ。そうしとけ、そうしとけ」
　ため息混じりに呟いた風丸の背中を、笑って頷きながら土門が叩いた。

　＊　＊　＊　＊　＊


自分と似たようなことを人がやってて、
それを客観的に見るとうわー…ってなるような、そんな感じの風丸さんで。

宮坂を知ってる雷門メンバーの少なさに泣きました。
でも大好きな目金がやっとしっかり書けたよー♪

立向居と宮坂を並べて、円堂と風丸への憧れを
語らせたらあっという間に意気投合しそう。
会話まったくかみ合わないのに最後だけ「ホントにかっこいい！」って
ハモるような、そんな仲良し具合で（笑）

あと、宮坂は円堂と初対面した立向居とほぼ同じセリフ、同じ行動で
風丸と初対面してるような気がします。……そうだったらいいのにな！